F1ホンダを襲う「高地の呪い」。ターボ改善も、今度は空力がダメだ (4ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki

 第19戦・メキシコGPが行なわれるエルマノス・ロドリゲス・サーキットは1.314kmという長いストレートがある反面、中低速コーナーが多く、エンジン全開率は40%にも満たない。逆にブレーキング時間は26~27%。つまり、それだけコーナリングとブレーキングに費やす時間が長く、空力性能とグリップレベルが重要なのだ。

 実をいうと、マクラーレン・ホンダはこのメキシコGPに対してそれなりに自信を持って臨んでいたという。自分たちがもっとも苦手とする回り込むような高速コーナーがないことと、得意なブレーキングの時間が長いことが、その理由だろう。

 しかし、予想外のダウンフォース不足で速さを発揮できなかった。

「今、ウチのチームに予想外ってないんですよ(苦笑)」

 長谷川総責任者は自嘲気味にそう語る。想定外のことばかり起きて、慌てて現場対応に追われる。「結果がすべて」だという信条のレース屋にとっては、名門チームだろうがなんだろうが、結果が出ていなければ何の意味もないのだ。

 前戦のアメリカGPの5位に浮かれることなく、メキシコGPの金曜には「今回のほうが忙しいくらい」のテスト項目を持ち込み、来年に向けてシミュレーション誤差の確認作業を続けていた。この作業がきちんと反映されれば、来年はこんな予想外に苦しむことも減るのかもしれない。いや、名門チームたるもの、そうでなければならない。

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