まさかのダブル転倒で決着。マルケスが3度目のMotoGP王者に (2ページ目)

  • 西村章●取材・文 text by Nishimura Akira
  • 竹内秀信●撮影 photo by Takeuchi Hidenobu

 もちろん、実際上の可能性として考えれば、マルケスが3戦で転倒することはまずあり得ない。だが、それと同様なくらい、第15戦終了時に76ポイント差が開くことは非現実的な想定にも思えた。というのも、この76点差をつけるためには、日本GPでマルケスとロッシの間に24点の差が発生しなければならないからだ。これは、マルケスが優勝して、ロッシが15位かそれ以下で終わる、ということを意味する。

 しかも、ランキング3番手につけるロレンソとのポイント差でも同様に76ポイントを開いておくためには、マルケスが優勝し、ロッシとロレンソがともに転倒するような事態にでもならないかぎり、およそあり得ない。マルケスも、チャンピオン獲得のプレッシャーや緊張感を感じずに、日曜の朝を迎えたという。

「朝はいつもどおりに起床して、いつもと同じ時間にトイレに行った。緊張しているときはトイレに行く回数も増えるけど、いつもとまったく同じだった」と、笑いながら振り返った。

 レース序盤にマルケスはロッシ、ロレンソと激しいバトルを繰り広げて4周目にトップに立つと、ふたりとの距離を少しずつ開き始めた。ロッシの転倒をサインボードで知ったときは、「よし、優勝を狙おう」と考え、さらに終盤にロレンソの転倒を知った際には、「その周回では何度もシフトミスをして、どこのサーキットにいるのかもわからなくなった」という。

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