まさかのダブル転倒で決着。
マルケスが3度目のMotoGP王者に

  • 西村章●取材・文 text by Nishimura Akira
  • 竹内秀信●撮影 photo by Takeuchi Hidenobu

 レース終盤のラスト5周目まで、まさかここツインリンクもてぎでチャンピオンが決まるとは誰も予想をしていなかった。2016年MotoGP年間総合優勝を達成したマルク・マルケス(レプソル・ホンダ・チーム)自身も、「最後の5〜6周目になるまでは、『次のオーストラリアで7位か8位に入ればチャンピオンを獲得できるな』と考えながら走っていた」と、正直な感想を述べた。

ロレンソとロッシを抑えて4周目にトップに立つマルケスロレンソとロッシを抑えて4周目にトップに立つマルケス 状況が一変したのは、全24周のレースの20周目にホルヘ・ロレンソ(モビスター・ヤマハ MotoGP)がV字コーナーで転倒したときだ。だが、さらにその13周前、7周目にバレンティーノ・ロッシ(モビスター・ヤマハ MotoGP)がヘアピンで転倒したときからすでに、この劇的な展開は大きく動き始めていた。

 10月16日の第15戦・日本GP決勝レースを前に、チャンピオン争いで首位に立つマルケスとランキング2番手につけるロッシのポイント差は52点。そして、ロッシとロレンソの差は14点。シーズン4戦を残して、マルケスのタイトル獲得はほぼ確実な状況だったが、日本GPで王座を確定させるためには、マルケスはレース終了後にロッシとロレンソに対して、それぞれ合計76ポイント差を開いている必要があった。これはあくまで計算上の想定だが、たとえば残りの4戦全部でロッシが優勝し、マルケスがそのうち3戦を転倒ノーポイントで終われば、ロッシが逆転チャンピオンを獲得することもあり得るのだ。

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