世界のスズキファン9年ぶりの歓喜。ビニャーレスがMotoGP初優勝 (3ページ目)

  • 西村章●取材・文 text by Nishimura Akira
  • 竹内秀信●撮影 photo by Takeuchi Hidenobu

「20ヶ月前にこのプロジェクトをスタートしたとき、スズキがトップに立つなんてちょっと信じられなかったけど、マーベリックがそれを達成してくれた。スズキファミリーのためにも、とてもハッピーな気持ちだ。レースを終えてプロジェクトリーダーのKenサンが泣いているのを見て、なんとも言えない気持ちになったよ。ファンタスティックだった」

 エスパルガロが「Kenサン」という技術監督の河内健は、ビニャーレスとともに表彰台でトロフィーを受け取った。表彰式から戻ってきた河内は、そこからの眺めを「最高でしたね」と、安堵の笑みをうかべながら話した。

「ここ数戦、ドライでは調子がいいのに決勝が雨やフラッグトゥフラッグなど、不完全燃焼のレースが続いていたので、『僕らの実力はこんなもんじゃない』と思いながらずっとがんばってきました。やっと今日、その結果をパーフェクトに出せたと思っています」

 念願の1勝を挙げてようやくライバル勢に追いつけたと思うか、と重ねて訊ねると、「いえいえ。まだまだそんなところまでは、とてもおそれ多いですよ」と、この人らしい、穏やかなトーンの言葉が返ってきた。

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