A・イアンノーネMotoGP初優勝。逆襲のドゥカティ、9年ぶりのワンツー (3ページ目)

  • 西村章●取材・文 text by Nishimura Akira
  • 竹内秀信●撮影 photo by Takeuchi Hidenobu

今年のレッドブル・リンクはドゥカティの2台が主役となった今年のレッドブル・リンクはドゥカティの2台が主役となった サマーブレイク中のモトクロス・トレーニングで転倒したというイアンノーネは、「肋骨が痛い......」と言いながらも、予選ではポールポジションを獲得した。その負傷などもあって決勝ではやや不利かとも見えたが、全28周のレースでは力強い走りを披露した。リア用に唯一、ソフト側コンパウンドのタイヤを装着。終盤までパフォーマンスを温存し、後半21周目から一気に勝負を仕掛けるクレバーな戦い方で、自身の最高峰初勝利とドゥカティ6年ぶりの勝利を獲得した。

「タイヤ選択は、皆がハード側だったけど、自分はソフト側で行くと言ったら、メカニックが『え、なんで?』と訊ねてきた。でも、土曜の走行で両方を試して、ソフト側で戦うとチャンスがあると思ったし、自分を信じてこの決断をして正解だったと思う」

 今回のレースで3位に入ったロレンソが、「イアンノーネ(のリアタイヤ)はソフト側だったので、途中からタイムが落ちてくると思っていたら、終盤に向けてどんどん速くなっていったので、正直なところ驚いた。温存していたのだろうね」と語っていたことにも、イアンノーネのクレバーな戦いぶりがよく表れている。

 一方、2位のドヴィツィオーゾは今回が記念すべきグランプリ250戦目という節目のレースだった。決勝中盤ではイアンノーネの前に出てしばらくトップを走行していただけに、決勝後の表情からは、勝てなかった悔しさも一入(ひとしお)、といった様子がありありとうかがえた。

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