【エアレース】「PR部長」から「勝負師」へ。室屋義秀がついに初優勝 (2ページ目)

  • 浅田真樹●文 text by Asada Masaki

 千葉・幕張海浜公園で開かれた、レッドブルエアレース・ワールドチャンピオンシップの2016年シーズン第3戦。地元開催で大きな期待が高まるなか、室屋は初優勝を果たした。

 日本でレッドブルエアレースが開催されるのは、昨年に続き、これが2回目だ。初開催だった昨年のことを振り返ると、室屋は勝負に挑むパイロットとして、というよりも、長く日本の航空スポーツに携わり、不遇を味わってきた者として、果たすべき役割を務めていたように思う。

 レース前の大事な準備期間にもかかわらず、多くの取材を受け、PRイベントにも出席した。表情を見ていても常ににこやかで、それは勝負師の顔ではなかった。地元開催のレースに合わせて導入した新機体も完全には調整しきれておらず、ほぼぶっつけ本番だったことも含め、室屋は本当の意味でファイティングポーズを取ってはいなかった。

 結果は8位。ラウンド・オブ・14ではコースレコードとなる最速タイムを記録したものの、今にして思えば、それはたまたま打ったホームランのようなもの。勝てるはずはなかった。

2 / 5

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る