エアレース開幕戦は大波乱。まさかの失格者続出に室屋義秀も困惑 (3ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki

 とはいえ、Gを抑えようとして大きくターンすれば、今度は観客の安全を守るセーフティラインを超えてしまう。これはこれでDQ(Disqualification)となり、失格である。

 まさに八方ふさがりの事態に、パイロットたちはなすすべなくDNFやDQを連発。予選のフライトでは、実に全14人中8人のパイロットがDNF、またはDQを犯した。

 これはかなりの異常事態である。当然、パイロットたちは「Gの計測システムが変わったのではないか」と、レースディレクターを問いただした。しかし、回答は「何も変わってはいない」の一点張りだった。

 もちろん、原因がはっきりしない以上、パイロットが絶対に正しいとは言い切れない。レッドブル・エアレースには世界トップレベルの腕利きパイロットが集結しているとはいえ、ミスは当然起こりうる。

 だとしても、1回ミスを犯せば、それを修正できるのが名手の腕。記憶に新しいところで言えば、室屋は昨季、千葉での第2戦でオーバーGを取られてラウンド・オブ・8(以下、R8)で敗退したものの、それ以降、今回のレースまでの間にただの一度もオーバーGを犯してはいない。ところが今回は、室屋に限らず、多くのパイロットが何度もオーバーGを繰り返したのである。

 しかも、同じライン取りをしたフライトでも、こっちはアウトであっちはセーフ、というような例もあり、パイロットたちはますます疑心暗鬼になっていく。センサーの感度が変わっているのか、中身のプログラミングの変更(あるいはバグ)でオーバーGの基準が低くなっているのか。理由ははっきりしないが、昨季と同じでないことだけはどうやら間違いない。

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