「ルノーより上」と豪語。ホンダはパドックでどう見られていたのか? (2ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki  桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

 しかし、GPSデータから詳細な数値を割り出しているチーム関係者の間では、それは常識的な事実として受け止められていた。

「ホンダのPUが優れているとは言わないが、低迷の理由がそれだけとは到底言えない。マシンのほうもかなりひどい。逆に、レッドブルはマシンが非常に優れていて、ルノー製PUでなければもっと好成績を収めていたはずだし、メルセデスAMG製PUを積んでいれば楽にチャンピオンになれたくらいだ」

 あるチームのマシン設計を担うエンジニアは、そう証言した。

 今年7月、新規参入のホンダには年間5基目のコンポーネント使用の許可が下りた。しかし、それに先立つ6月の各チームとPUメーカーが出席するF1戦略会議の席上では、メルセデスAMGの反対にあって一度は却下されていた。

「面と向かっているときは『そうだよね』と話していたのに、最後の採決の段階になって『反対!』と言われてしまった。シーズン中のレギュレーション変更は全会一致が必要だから、そこでアウト。彼らも常に他メーカーの性能を計測しているし、我々がどういう成長曲線で上がってきているかわかっているから、そんなことをするんです」(新井総責任者)

 重ねて言うならば、ライバルメーカーたちはホンダのPUが抱える問題というのが「ディプロイメント不足にある」ということは、とうの昔に見抜いていた。GPSデータを分析すれば、PUの性能向上と、依然としてディプロイメントが不足していることは明らかだった。

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