「ルノーより上」と豪語。ホンダはパドックでどう見られていたのか?
2015年シーズンのマクラーレン・ホンダを検証する(3)
F1マシンがエキゾーストノートを響かせているとき、ピットガレージのエンジニアたちが見詰めるモニター上のコース図には、20台のマシンを示す"ドット"が動き続けている。各マシンにはGPSが搭載されていて、コース上のどこにどのマシンがいるのか、極めて高い精度で刻々と情報がもたらされているのだ。
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「ディプロイメント不足」に悩み続けたホンダのパワーユニット このGPSのデータは、レース戦略やコースインのタイミングを考える上で活用されているが、レースが終わった後には別の使い道もある。ライバルチームのマシン性能を分析するという用途だ。GPSデータを分析すれば、高速コーナーをどのくらいのスピードで駆け抜けたかがわかる。そうすれば、どのくらいのダウンフォース量が発生しているかを知ることができるのだ。
コーナーから何秒で時速何kmまで加速したかを分析すれば、パワーユニット(PU)の馬力もたちどころにわかってしまう。ストレートの途中で速度の伸びが落ちていれば、ERS(エネルギー回生システム)のディプロイメントが切れていることもわかる。
これは、どのチームでも日常的に行なわれている作業だ。裏を返せば、彼らはラップタイムだけではない、ライバルチームのマシンの性能というものをかなり詳しく把握しているということになる。
「PU単体の性能でいえば、ルノーを上回っている」
シーズン中盤、ホンダの新井康久F1総責任者の発言がメディアの間で失笑を誘い、ファンの間では怒りすら買った。コース上の結果だけを見れば、それはあまりに現実とかけ離れているように見えたからだ。
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