ホンダが現実を思い知らされた今季F1の「ターニングポイント」
2015年シーズンのマクラーレン・ホンダを検証する(4)
2015年、「技術のホンダ」はF1でいったい、どれだけの挫折を味わったのだろうか――。
「夏休み明けがターニングポイントでした。ライバルとどのくらいの差があるか、ということを理解したという意味で......」
ホンダのF1総責任者、新井康久は苦難のシーズンを終えてそう振り返った。
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「圧倒的な準備不足」で開幕戦を迎えたマクラーレン・ホンダ 前半戦最後のハンガリーGPで、ホンダは手持ちのパワーユニット(PU)の性能を出し切り、5位・9位というダブル入賞を果たした。そして、夏休み明けのベルギーGPにはトークン(※)を使って特例開発を投入し、「ライバルたちに追いつく」と意気込んでいた。
※パワーユニットの信頼性に問題があった場合、FIAに認められれば改良が許されるが、性能が向上するような改良・開発は認められていない。ただし、「トークン」と呼ばれるポイント制による特例開発だけが認められている。各メーカーは与えられた「トークン」の範囲内で開発箇所を選ぶことができる。
しかし、フタを開けてみれば差は縮まるどころか、開いたようにさえ見えた。
「夏休み明けにパワーの求められるサーキットが続き、『(エネルギー回生システムの)ディプロイメント不足の影響力が大きい』ということが、より鮮明に見えてきたんです。ICE(内燃機関エンジン)の出力だけではないんだということがはっきりして、あそこから自分たちの意識が大きく変わりました」
ホンダにとっての挫折は、それだけではなかった。
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