【MotoGP】劇的展開の日本GPはホンダのペドロサが制す

  • 西村章●取材・文 text by Nishimura Akira  竹内秀信●撮影 photo by Takeuchi Hidenobu

 悪天候から路面が少しずつ乾いていく不安定なコンディションだったからこそ、劇的なレースになった。晴天のドライコンディション、あるいは最初から最後までフルウェットで路面条件が安定していれば、ここまでドラマチックな展開にはならなかっただろう。

トップのホルヘ・ロレンソ(左)に襲いかかるダニ・ペドロサ(右)トップのホルヘ・ロレンソ(左)に襲いかかるダニ・ペドロサ(右) 栃木県ツインリンクもてぎで行なわれたMotoGP第15戦・日本GPで優勝を飾ったダニ・ペドロサ(レプソル・ホンダ・チーム)は、序盤に8秒以上も開いていた前との差を少しずつ縮めていき、やがて次々と前方の選手たちをオーバーテイク。レースが終盤に差し掛かる18周目にトップに立つと、最後には後続と8秒の差を開いてトップでチェッカーを受けた。つまり、ペドロサは全24周のレースで都合16秒以上のタイムギャップをコントロールして優勝を飾った、ということになる。

 フリープラクティスが行なわれる金曜日から土曜の予選までは、秋空のすっきりとした好天で推移した。この段階で圧倒的な速さを見せていたのは、ホルヘ・ロレンソ(モビスター・ヤマハ MotoGP)だった。ロレンソは、昨年と一昨年の日本GPでも優勝を飾っている。事前の予想では優勝候補最右翼だったが、実はロレンソは今回の来日直前、トレーニングで左肩じん帯を傷めるケガを負っていた。だが、彼の走りは金曜初日の走り出しからそんなことは微塵も感じさせず、いつもどおりの水準の高い内容だった。

 そこで、金曜の走行後に、「左肩の負傷は走行に影響を与えるほどでもないのでは?」と訊ねてみた。すると、ロレンソは微妙な表情で、「さいわい、ケガした当初に恐れていたほどではないけれど、でも実際にはまだ違和感があるし、加速でもブレーキングでも切り返しでも、全域でちょっとずつ気持ちよく走れていないんだ」という返答をした。

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