【F1】鈴鹿だからこそ浮き彫りとなった「ホンダの実力」

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki  桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

「これじゃGP2エンジンだ! ア~~~ッ!」

 日本GPの26周目、メインストレートでトロロッソに抜かれたフェルナンド・アロンソが無線で叫んだ。

鈴鹿サーキットのコーナーを果敢に攻めるマクラーレン・ホンダ鈴鹿サーキットのコーナーを果敢に攻めるマクラーレン・ホンダ スタートで12番グリッドから入賞圏内の9位に浮上したものの、レッドブルやトロロッソ、ザウバー勢に次々と抜かれていった。車両間隔が1秒以内に入りDRS(※)を開いた後方車になす術(すべ)なく、2台同時に抜き去られるシーンすらあった。

※DRS=Drag Reduction Systemの略。ドラッグ削減システム/ダウンフォース抑制システム。

「まるでGP2に乗っているみたいに追い抜かれている。氷の上を走っているみたいだ」

 序盤からアロンソは、そう訴えていた。そして、積もり積もったフラストレーションがついに爆発したのが、冒頭の無線交信だった。それがテレビ中継に乗り、あまりにもセンセーショナルに伝わってしまった。

「そりゃ、フラストレーションを感じるよ、ストレートであんな抜かれ方をすればね(苦笑)。相手がコーナーでミスをしていても、ストレートであっという間に追いつかれているんだ。僕はGP2のマシンは乗ったことがないけど、明らかに別のカテゴリーみたいな状態だったからね」

 地元レースに臨んだホンダにとって、これほど屈辱的で悔しいことはなかっただろう。

 予選では14位・16位に終わり、決勝でも最終的に11位・16位でポイントを逃した。そしてドライバーからはパワーユニットに対する厳しい言葉。ホンダの新井康久F1総責任者は、それを真摯に受け止めた。

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