【F1】ホンダ総責任者が語った「後半戦はすごい」の根拠 (5ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

 その後、アロンソは壊れたフロントウイングを交換して走行を続けたが、セットアップが煮詰まっていないマシンではペースは上がらない。それでも、前走車の脱落によって徐々に順位を上げ、レース終盤に雨が降り始めたと見るやすぐにピットイン。雨用の浅溝のインターミディエイトタイヤに換えて走り、ライバルの戦略ミスにも助けられて10位でフィニッシュ。二度の王座経験者は、シーズン9戦目にしてようやく今季初ポイントを獲得した。

「パーティをするような最高の結果ではないし、たったの1ポイントで狂喜乱舞するわけにはいかない。僕らが求めているのはこの程度の結果ではないからね。でも、クルマを良くするために日夜懸命に働いてくれているメカニックやエンジニアたちのためにはよかったと思う。僕らが正しい方向に進んでいることの証だ。チームの内外に向けて、日夜努力している方向性が間違っていないことを証明するためにも、こうした結果が必要なんだ」

 アロンソがそう語る背景には、この先もたいへんな努力が必要だという思いがあるのだろう。新しい空力パッケージをものにするまでは、新たな積み上げが必要なのだ。

 もちろん、ホンダのパワーユニットもこのままでいいわけがない。新井は現状に満足してはいないし、後半戦に向けて楽観視もしていない。

「とくにスパ(ベルギーGP)とモンツァ(イタリアGP)は、今の状態のまま戦うのは相当厳しいと思っています。そこに向けてアップデートを投入したい。中低速のハンガロリンク(ハンガリーGP)で車体側の煮詰めをきちんとして、パワーユニット側はスパでバージョンを上げる計画をしています」

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