【F1】ホンダ総責任者が明言。「後半戦はすごいですよ」 (2ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

 参戦台数が20台の今季、現実的に実行しようがないペナルティで、規定策定者であるFIA(国際自動車連盟)の想定を超える交換回数に達してしまったということであり、外からは続発するトラブルにホンダが追われているように見える。しかし、実態は違った。

「今後を考えた戦略として、『どのタイミングでペナルティを受けて新しいものを入れておくのが効率的か』と考え、ここで入れておくことにしました。主要4コンポーネントすべてを交換したのも、今後バラバラにペナルティを受けるのを避けるため。いずれにしても大きくグリッド降格になってしまうので、だったらここでまとめてやってしまおうと」

 新井康久F1総責任者がそう語る背景には、「トークン」(※)を使った開発計画がある。
※信頼性に問題があった場合、FIAに申請して認められれば改良が許されているが、性能が向上するような改良・開発は認められていない。ただし「トークン」と呼ばれるポイント制による特例開発だけが認められている。各メーカーは、与えられた「トークン」の範囲内で開発箇所を選ぶことができる。

 メルセデスAMGやフェラーリとの差を縮めるには、トークンによる特例開発をいかにうまく使うかがカギになる。ホンダはその新型パワーユニットを夏休み明けの後半戦に投入できるよう照準を合わせている。

 そうであれば、バラバラにアップデートを投入して毎戦ペナルティを受けるより、ここオーストリアでフレッシュなパワーユニット一式を投入して一気にペナルティを消化し、前半戦の残る2戦、イギリスGP、ハンガリーGPはこのパワーユニットで走りきる予定だ。つまり、マクラーレン・ホンダは残り2戦をのびのび戦うために、オーストリアGPを犠牲にしてコンポーネントの"戦略的交換"を行なったのだ。

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