【F1】振り出しに戻ったマクラーレン・ホンダは再浮上できるのか (3ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

 昨年から参戦している3メーカー(メルセデス、フェラーリ、ルノー)はそのうち20前後のトークンを2015年の開幕までに使用し、いくつかはシーズン中の開発のために残している。そのため、新規参入のホンダには、3メーカーの残り数の平均値である9トークンが与えられた。

 今回、ホンダはそのうち2トークンを使用した。これはどちらかといえば信頼性確保のための改良だが、パワーユニットの出力効率を向上させるものでもあるため、「トークンなしでの開発が認められなかった」とホンダの新井康久F1総責任者は語った。

「トークンを使った開発というと、馬力がすごく上がると思われるかもしれませんが、今回はパワーユニット全体として効率的になるように改良しました。ですから、馬力が大幅に向上するようなものではありません。パワーの向上は“少しだけ”です。長期的に見て、変えるタイミングとして今が最適と判断してここで投入しました。シーズン後半戦に向けて、今回変えた部分はこの仕様で最後までいって、あとは他の部分の開発をします」

 カナダGPの金曜日からマクラーレン・ホンダの2台は揃ってターボチャージャーとMGU-H(※)を新たなコンポーネントに交換しており、このいずれかもしくは両方にトークンを使用した改良が施されたものと思われる。
※MGU-H =Motor Generator Unit - Heat/排気ガスから熱エネルギーを回生する装置

 カナダGPが開催されるストレート主体のジル・ビルヌーブ・サーキットで、マクラーレン・ホンダは楽な戦いを予想していたわけではない。しかし、金曜日のフリー走行後から想定外の事態に見舞われた。

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