【F1】メルセデスAMGを猛追。フェラーリはどこが進化した? (4ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

 バーレーンGPの戦略にもそれが表れていた。彼らはメルセデスAMGとのタイム差が大きくなることを悟った時点で、リスクを冒してでも彼らに挑む戦略を迷わず採った。

「メルセデスAMGとの差が大きいことは分かっていた。だから、我々がやるべきことはアグレッシブな戦略を採り、それを成功させることだけだった。むしろ、シーズン序盤のこの段階でアグレッシブにいかないことの方が好ましくない」(アリバベーネ代表)

 アリバベーネは、パワーユニットに限らず自分たちの目標を達成するために必要なマシン改良は、なんとしてでも成し遂げるという姿勢を貫いてきた。

「開幕までの3カ月間で、全スタッフがパワーユニットに限らず車体面も含めてすべてにおいて大きな努力を重ねてきた。今でも覚えているが、私は昨年12月の10日ぐらいにシモーネ・レスタ(チーフデザイナー)やロリー・バーン(アドバイザー)と一緒に、クルマの画像を見ながら、どうすればクルマの重量配分を少し前寄りに持ってこられるのかと聞いたんだ。キミ(・ライコネン)はそういうクルマのフィーリングを好むし、セバスチャン(・ベッテル)もそうだからね。彼らは『それをやるには6カ月必要だ』と言ったが、私は『それを3カ月でやるにはどうしたらいい?』と聞いたんだ。そうしたら彼らが『昼も夜も働かなくてはならない』というから、『OK、私も君たちと一緒に働くよ!』と言ったのさ(笑)」

 新たな指揮官の下で、開発面においてもレース運営面においても好循環が生まれているのが今季のフェラーリなのだ。

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