【F1】初表彰台。名門ウイリアムズは輝きを取り戻せるか (2ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

「純粋な速さでいえば、我々は2番目に速いクルマでしかなかった」

 スメドリー自身がそう認めるように、予選を終えた時点で彼らはすでにひとつの決断を下していた。

 決勝のスタートからウイリアムズの2台が飛び出し、22台の隊列を率いた。前戦カナダGPに続いて、再びメルセデスAMGの牙城が崩れるのか? しかし、その興奮は、次第にどこか白けたムードへと変わっていってしまった。

 11周目に3位ニコ・ロズベルグ、13周目に4位ハミルトンがピットインし、14周目にマッサ、さらにその翌周にボッタスがピットインすると、彼らはメルセデスAMG勢の後ろに回ってしまった。ピットインしてすぐに新品タイヤで猛プッシュしたメルセデスAMG勢に対して、タイヤ性能の終わりかけたタイヤで走り続けていれば差は開くばかりで、順位を逆転されるのは当然のことだった。

 メルセデスAMG勢は、いわゆる"アンダーカット"(※)という攻撃を仕掛けたのだ。にもかかわらず、ウイリアムズ勢は何ら対抗策をとらなかった。
※同じタイヤでも、数十週走ったタイヤより新品の方が速いため、順位の上昇を狙ってタイヤ交換のタイミングを早めること

「ウイリアムズの戦略が弱いのは分かっているし、あぁまたやっているなと思って見ていたよ」

「一般論としてピットストップ直後の方がペースは速く走れるし、相手が入ったらすぐに入らないと逆転されるのは当然だ」

 他チームの戦略を担うスタッフはそう語る。

 39周目と40周目にメルセデスAMG勢が2度目のピットストップを行ない、ウイリアムズ勢は41周目と43周目にピットへと向かった。ここで、一度は2位に上がっていたボッタスがハミルトンに抜かれ、メルセデスAMG勢のワンツー体制が固まった。

 しかし、ウイリアムズは失策したわけではなかった。

「我々はクルマのシステム、ブレーキ、タイヤをうまくマネジメントしなければならなかったし、そこだけに集中していた。実際、レースを終えたタイヤの摩耗は限界に近かった。もしアグレッシブなレースをやっていたら、最後まで走り切ることはできなかっただろう」

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