【F1】初表彰台。名門ウイリアムズは輝きを取り戻せるか (3ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

 ウイリアムズは最初からメルセデスAMGと戦うことは考えず、優勝争いも狙ってはいなかったのだ。

 彼らの目標はあくまで手堅く3位・4位を手に入れることであり、彼らが見ていたのは前にいるメルセデスAMGの2台ではなく、後ろから追いかけてくるフェラーリとレッドブルだった。

 ウイリアムズの優勝を期待するスタンドの観客とは裏腹に、予選を終えた時点で彼らは早々に手堅い戦略で行く決断を下していたのだ。

 だからこそ、3位でチェッカーを受けて自身初の表彰台を獲得したボッタスに、チームは「よくやった、完璧なレースだったぞ!」と歓喜のメッセージを送った。

ウイリアムズはボッタス(写真右)が初の表彰台を獲得したウイリアムズはボッタス(写真右)が初の表彰台を獲得した 開幕以来、速さはありながらも思うように結果が残せていなかったウイリアムズは、ここで確実に大量ポイントを獲得しておきたいという思いがあった。

「今日の我々にとっては、遠くにある38ポイント(ワンツーフィニッシュ)ではなく27ポイント(3位・4位)を確実に獲ることの方が重要だった」とスメドリーが語るのも分からなくはない。

 しかし、メルセデスAMG勢もパワーユニットがやや不調をきたした様子があったり、ブレーキのオーバーヒートに悩まされたりと、決して楽なレースではなかった。つまり、勝負をかけていれば、ウイリアムズがさらに上位に行けた可能性もあったのだ。

 レース後、予定より30分も遅れてモーターホームに姿を現わしたスメドリーは、待ち受ける報道陣から表彰台獲得の祝辞を受けるよりも、どうして勝負しなかったのかと詰問されるような状況に、やや戸惑いの表情を浮かべていた。

 ボッタス車を担当するメカニックの白幡勝広にとっても、自身初の表彰台だった。ただ、優勝も見えていただけに、こちらもどう振る舞っていいのか、どこか戸惑っている様子があった。

「うれしいけど、正直言うと少しガッカリしているというところもあるんですよね。3位でガッカリだなんて、贅沢ですけど」(白幡)

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