2014.06.25

【F1】初表彰台。名門ウイリアムズは輝きを取り戻せるか

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

 オーストリアGPの予選Q3の終了を告げるチェッカーフラッグが振り下ろされ、ウイリアムズのフェリペ・マッサのマシンがその下を通り過ぎると同時に、大歓声が上がった。満員のグランドスタンドに向けられたオーロラビジョンに映し出された数字は「1」。それは開幕から続いたメルセデスAMGの連続ポールポジション記録が「7」で止まったことを意味していた。

 マシンを降りたマッサは妻子の元に駆け寄って抱き合い、フェラーリ時代の2008年ブラジルGP以来となるポールポジション獲得に喜びを爆発させた。そして2位には僚友のバルテリ・ボッタスがつけ、ウイリアムズ勢がフロントロウを独占。この”番狂わせ”に、2003年以来となるF1開催をひと目見ようと駆けつけたオーストリアの人々は熱狂したのだ。

予選はウイリアムズの2台がワンツー。メルセデスAMGを上回った オーストリア第二の都市グラーツに近い山の中腹にある「レッドブルリンク」には、実質的なコーナーの数が7つしかない。ストレートの長いこの中高速サーキットは、空気抵抗が小さいウイリアムズのマシンに適していた。

「ウチのクルマは空力効率が良くて、そしてここはドラッグ(空気力学的抵抗)が速さに直結するサーキットだから、ウチのクルマに合っているんだ」

 かつてフェラーリでマッサのレースエンジニアを務め、今季からウイリアムズに加入したロブ・スメドリー(ビークルパフォーマンス責任者)はそう語る。

 しかし、予選で見せたこのパフォーマンスは、決して実力を反映したものではなかった。

 メルセデスAMGは、タイヤの路面グリップがもっと向上するはずという読みが外れ、施したセットアップが合わなかったのだ。一説には0.3秒と言われるそのロスは、1周がわずか1分8秒のこのサーキットでは大きな差となってしまった。そしてルイス・ハミルトンに至ってはハードブレーキングでミスを犯してタイムを記録することなく9位でセッションを終えてしまった。そんな外的要因もあって成し遂げられた、ウイリアムズのフロントロウ独占だったのだ。