【F1】独走メルセデスの牙城崩壊。カナダGPの舞台裏 (2ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

 メルセデスAMG勢がトラブルに見舞われてから、カナダGPは大混戦となった。まずここで優勝のチャンスを手にしたのは、フォースインディアのセルジオ・ペレスだった。

 フォースインディアの2台は、予選はQ2敗退だったが、それは決勝重視のセットアップに徹していたからだった。つまり、タイヤをいたわり、確実に1回のピットストップで走り切ることが狙いだ。その戦略が見事に当たり、上位勢が2度のピットストップを終えると、ペレスは2位に浮上。トラブルでペースの上がらないロズベルグの背後に迫った。

「1ストップというのはギリギリではありましたけど、できるという確信を持ってやっていましたし、タイヤは全然大丈夫だったので、何もなければあのまま走り切れたと思います」

 そう語るのは、フォースインディアのタイヤ戦略を担う松崎淳エンジニアだ。

 1位ロズベルグ、2位ペレス、その後ろにレッドブルの2台とウイリアムズのフェリペ・マッサ。メルセデスAMGの牙城が崩れ、大接戦となった。

 しかし、ペレスのマシンは、レース終盤になってBBW(ブレーキバイワイヤ)にトラブルが発生し、ブレーキの効きが悪くなってしまった。そして、レッドブル勢に抜かれた後に、追い上げてきたマッサとクラッシュ。レースをリタイアした。上位をうかがっていたマッサもまた、不用意な仕掛けで優勝のチャンスを逃した。

 一方、レース序盤、3位を走っていたベッテルは徐々に後退していき、終盤はフォースインディア勢に抑え込まれて本来のペースで走ることができないでいた。その間に、同僚のリカルドの先行を許すことになってしまった。

「戦略上、もう少し違うことができたと思うんだけど、チームがそれをやってくれなかった。そうすれば本来のペースは引き出せたはずなのに。そのせいで遅れてピットストップをしてダニエル(リカルド)にポジションを奪われたんだ」

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