【F1】「下位チームの悲哀」を乗り越え可夢偉は前進する (2ページ目)
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「もうね、ハードタイヤは石みたいに硬いんです。石を4つクルマに付けて走ってるようなもんです。滑るし。ウエットコンディションで走っているみたいにグリップしないんです。乗っていて運転するのがツラい状態。泣きそうですよ」
スペインGPでの可夢偉の成績は、予選21位、決勝はリタイアだった 予選では、新品タイヤを履いてタイムアタックに向かった途端、可夢偉のマシンはあらぬ方向を向いた。スロットルを踏むと同時に、最終コーナーの立ち上がりでリアが流れてスピンしそうになったのだ。
「オーバーランじゃなくて、"オーバーイン"したんですよ! アタックラップに向けてうまく立ち上がろうと思って最終コーナーでアクセルを踏んだら、グリップしなさすぎてクルマがインに巻き込んでいって。普通、新品タイヤを履いた時にあんなことはあり得ないですよ。あの瞬間、新品タイヤでもグリップがないなって分かりましたね」
ともすればドライバーのミスと断罪されてしまいそうな予選アタックの失敗だったが、チームに可夢偉を責める者はいなかった。なぜなら、スピンしてしまった原因が、可夢偉のドライビング技術以外の部分にあったからだ。
ケータハムはこのバルセロナにアップデートパーツを持ち込んだが、金曜フリー走行で試した限りでは、ドライバーがその効果を実感できるほどではなかった。そこで、土曜朝のフリー走行では旧型パーツに戻して走ったのだが、数値上はわずかながら新型の方が優れていることが確認できたため、再び新型パッケージに戻し、可夢偉はぶっつけ本番で予選を走ったのだ。
「タイムがあまりにも遅くて、(評価をするという)そんな次元じゃないなっていう状態でしたね。やれるだけのことはやったから、これ以上はしょうがない。
一応アップデートのパーツは入っているんですけど、そんなに大きいものじゃないんです。自信を持って『これが入ったぞ』っていうほどではない。まぁ、あるだけ良いですけどね。上海(中国GP)では、バルセロナで新型パーツが入るって言うてたのに、ものすごく小さなものしかなかったから痛かった」
実際のところ、バルセロナではもっと大きなアップデートが投入されるものと可夢偉は思っていた。1月下旬にこのチームに加入し、開幕前のテストを通してチームとともに方向性を議論してきたマシン開発が、ようやく形になってくるはずだった。
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