【F1】速すぎるメルセデスにライバル勢は追いつけるのか? (2ページ目)
同時に、メルセデスAMGは同じPUを使う他のユーザーチームに対しても大きな差を付けている。
「我々がPUによる恩恵を受けていることは事実ですし、その恩恵は決して小さくはないと思っています。しかし、メルセデスAMGとの間に大きな差が開いているのは、単純に車体側の差だと判断せざるを得ません。主に空力ですね。我々はもっとダウンフォースが欲しいです」
そう語るのはメルセデスAMG製PUのパワーを生かしてバーレーンGPで3位表彰台を獲得したフォースインディアの松崎淳エンジニアだ。
バーレーンで上位を占めたメルセデスAMGユーザー勢の中で、ウイリアムズやマクラーレンなど他のユーザーチームを下してフォースインディアが表彰台を手にしたが、それは、タイヤをうまく使いこなし、ピットストップ回数を少なくする戦略に成功したからだ。そのタイヤの使い方を担う松崎エンジニアは、こう続ける。
「PUの使い方やタイヤの使い方、レース戦略、そしてなにより車体側の性能。そのすべてが噛み合わなければ、あれだけの速さは実現できません。我々だって、ひとつでもミスがあれば5位や6位、ひょっとすると10位以下に落ちていたかもしれない。そのくらい熾烈な争いでした。でも、マシンが1秒速ければ、決勝では遅く走ってタイヤをいたわることだって簡単なんです」
PUだけで彼らの独走が果たされているのではなく、車体側の性能と戦略もまた優れているからこそ、今季のメルセデスAMGは速い。
バーレーンGPレース序盤のメルセデスAMGは、1周につき1秒速いペースで後続を引き離していった。しかしこれはもちろん、彼らの本気の走りではない。フォースインディアと同じ2回ストップ作戦を成功させるためにタイヤをいたわりながらの走りでしかない。
「ルイス、左フロントタイヤをいたわりながら走れ。ニコよりも少しアンダーステア傾向が強(く曲がりにく)いようだ」
「ニコ、このスティントは長く走る必要がある。だからタイヤをいたわってくれ」
メルセデスAMGのピットウォールからはドライバーたちに対してタイヤをいたわるよう次々と無線で指示が飛ぶ。
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