2014.04.08

【F1】速すぎるメルセデスにライバル勢は追いつけるのか?

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

「そんなの僕には分からないよ、だって僕は今年まだオーバーテイクをしたことないんだから」

 ルイス・ハミルトンはそう言っていたずらっぽく笑った。

 バーレーンGPを目前に控えた木曜日、メディアとの懇談の席で今年のF1マシンはオーバーテイクが難しくなったのかという質問を受けての一場面だ。

 4日前のマレーシアGPで独走勝利を飾ったハミルトンと、開幕戦で勝利を収めたニコ・ロズベルグ。今季のメルセデスAMGは、2014年シーズンの開幕からトップを走り続けている。彼らにとっては他車をオーバーテイクする必要などなく、スタートからフィニッシュまで首位を独走するだけのレースが続いているのだ。

 それはこの第3戦バーレーンの週末も変わることはなかった。

マレーシアGPに続きメルセデスAMGはバーレーンGPでもワンツーフィニッシュ メルセデスAMG勢がフロントロウを独占した予選の最高速記録を見れば、メルセデスAMG製パワーユニット(PU)を搭載する4チーム(メルセデス、フォースインディア、ウイリアムズ、マクラーレン)8台のマシンがすべてトップ10に入っている。最高速トップのセルジオ・ペレス(フォースインディア)の328.8km/hと予選3位に飛び込んだダニエル・リカルド(レッドブル/ルノー製PU)の数値を比べると、8.5km/hの差がある。

 レッドブルのクリスチャン・ホーナー代表は、この直線主体のバーレーン・インターナショナル・サーキットではPUの最大出力の差がそのままラップタイムに表われたと認めた。

「我々がストレートラインのパフォーマンスでメルセデスAMGユーザー勢に大きく後れを取っていることは明らかだし、それを改善するためにルノーのスタッフも努力している。その直線の不利の大きさを考えれば、このサーキットでこうして表彰台の近くまで来られたこと(4位)は非常に大きな偉業だと言うべきだろう」

 決勝のレッドシグナルが消灯した瞬間、フロントロウのメルセデスAMGの2台は後続よりも俊敏な加速を見せた。しかし何より、ERS(エネルギー回生システム)のブーストが許される100km/hを超えてからのスピードの伸びは他を圧倒しており、ターン1にアプローチするまでに後続をさらに大きく引き離した。マレーシアGPでもロズベルグがセバスチャン・ベッテル(レッドブル)をスタート直後に抜き去ったように、PUのパワーは明らかにメルセデスAMGのアドバンテージのひとつになっている。