2013.10.22

【MotoGP】最年少チャンピオン狙うマルケス、失格の舞台裏

  • 西村章●取材・文 text by Nishimura Akira
  • 竹内秀信●撮影 photo by Takeuchi Hidenobu

「レースの世界、ことに二輪ロードレースでは、何が起こっても不思議ではない」

 第16戦オーストラリアGPで3位に入ったバレンティーノ・ロッシ(ヤマハ・ファクトリー・レーシング)が、レース後に発した言葉だ。
マルケス(93番)の失格により、ロレンソ(99番)との総合ポイント差は18に縮まった
 このロッシの言葉が象徴するとおり、今回の決勝はじつに奇妙な展開になった。

 本来なら27周で争われるレースは、タイヤの安全性の問題から土曜午後の協議で26周に減算され、レース中にピットインして別のタイヤを装着したバイクに乗り換える<フラッグトゥフラッグ>ルールが適用されることになった。会場であるフィリップアイランドサーキットの再舗装された新路面が想像以上にグリップが良く、タイヤの保ちは最大でも14周だろうという判断から、この苦肉の策が採用されることになった。

 日曜午前のウォームアップ走行後にもタイヤの状態を分析した結果、前日の決定から再度見直しが行なわれて、総周回数は19周へとさらに減らされた。そして、<フラッグトゥフラッグ>ルールのもとでのマシン交換は、9周目か10周目の終了時に行なわなければならない、ということも決定した。

 日曜午後4時にはじまった決勝レースグリッドは、ポールポジションから順に、ホルヘ・ロレンソ(ヤマハ・ファクトリー・レーシング)、マルク・マルケス(レプソル・ホンダ・チーム)、バレンティーノ・ロッシ、の3名がフロントローを獲得していた。前戦で優勝し、ランキング3番手につけるダニ・ペドロサ(レプソル・ホンダ・チーム)は2列目5番グリッド。

 ランキング首位に立つ今回のレースでマルケスが優勝し、2番手のロレンソが3位以下でゴールすれば史上最年少王者が誕生する。彼ら2名を含む上記4選手の走りとリザルト次第でその結果が大きく左右されるだけに、<フラッグトゥフラッグ>ルールのもと19周で争われたこの決勝レースは、サーキットにいる全員が、そしておそらくは世界中のロードレースファンがテレビの前で固唾(かたず)を呑んで見守っていた。