【MotoGP】ペドロサが後輩マルケスに見せつけた「意地」の優勝

  • 西村章●取材・文 text by Nishimura Akira 竹内秀信●撮影 photo by Takeuchi Hidenobu

 気魄(きはく)と根性でもぎ取った勝利だ。

第15戦マレーシアGPで、2列目5番グリッドから決勝レースを迎えたダニ・ペドロサ(レプソル・ホンダ・チーム)は、スタートを決めて1コーナーに2番手で飛び込んでいくと、5周目にはトップに立った。以後の周回では追いすがろうとするマルク・マルケス(レプソル・ホンダ・チーム)をじわじわと引き離して振り切り、第4戦フランスGP以来の今季3勝目を挙げた。

前戦の転倒リタイアでの負傷を乗り越えて優勝したペドロサ(写真中央)。2位はマルケス(左)。3位はロレンソ(右)前戦の転倒リタイアでの負傷を乗り越えて優勝したペドロサ(写真中央)。2位はマルケス(左)。3位はロレンソ(右) 今回のペドロサは、なんとしてでもマルケスの前でチェッカーフラッグを受けなければならない理由があった。前戦アラゴンGPの決勝レースで、後方から接近したマルケスがペドロサにごくわずかに接触してしまった際、ペドロサが転倒しリタイアするというアクシデントがあったからだ。

 原因は、ペドロサのマシンの後輪の「速度センサーケーブル」が切断されてしまい、トラクションコントロールが効かなくなって、一瞬のうちにマシンから振り飛ばされる、というものだった。

 ごく一瞬のマシン同士の接触で後輪の速度情報を伝達するケーブルに触れ、しかもその配線が切断されてしまうという、およそ起こりえないようなアクシデントだった。

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