【MotoGP】同じリタイアでも対照的。
ロッシの苦悩とマルケスの進化

  • 西村章●取材・文 text by Nishimura Akira 竹内秀信●撮影 photo by Takeuchi Hidenobu

 しかし、レースが始まってみればオープニングラップからロレンソ、ペドロサの背後でトップ集団につけ、終盤まで様子を窺(うかが)う走りに徹した。そして、ラスト5周で、マルケスはペドロサをオーバーテイク。その時点で5秒ほど開いていたトップのロレンソとの差を「詰めるのは無理だったから、冷静に後ろとの差を開こうとしていた」という。その矢先のラスト3周、急坂を左に下ってゆく<アラビアータ>を目前に控えた左7コーナーで転倒。この転倒について、マルケスはレース後にこう振り返っている。

「転んだ以上はミステイクなんだけど、正直、どういうミスだったのかが自分でもよくわからない。ピットでデータを見てみたけど、何もかもが前の周回と同じだった。フロントとリアが一気に切れこんだ。堪えようとしてなんとかバイクを引き起こそうとしたけど、できなかった」

 そして、マルケスはこうも話す。

「最後は転倒で終わってしまったけど、今回はたくさんのことを学べた。とくにレースでは、ダニとホルヘの後ろで、ホントにホントにホントに多くのことを学習した。僕のライディングスタイルではここでは苦戦してしまう。ダニとホルヘの後ろについて走り、将来勝つために多くの事を学んだよ。ここ(ムジェロサーキット)は切り返しが多くて難しくて苦戦したけど、今回学んだものはしっかりと身につけて、次のレースでトライしてみようと思う。原因はわからないけど、決勝の転倒からも学んでいかなければならないね」

 次戦のカタルーニャGPに大きな期待を持たせる発言だが、この調子でいくと一年後のマルケスは、来年のムジェロで、かつてロッシが7連覇を飾っていた頃のような、とんでもなく華麗なレースを繰り広げそうな予感がしてくる。

 ムジェロ7連覇を開始したとき、ロッシは23歳。現在のマルケスは20歳である。
 

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