2013.06.05

【MotoGP】同じリタイアでも対照的。
ロッシの苦悩とマルケスの進化

  • 西村章●取材・文 text by Nishimura Akira 竹内秀信●撮影 photo by Takeuchi Hidenobu

 オープニングラップから容赦のない高水準の走りで、ホルヘ・ロレンソ(ヤマハ・ファクトリー・レーシング)が第5戦イタリアGPを制した。開幕戦以来のシーズン2勝目。25点を加算し、ポイントランキングで首位を走るライバルのダニ・ペドロサ(レプソル・ホンダ・チーム)との差も12点に縮めた。

 レース開始直後は、ポールポジションのペドロサがスタートを決めてトップで1コーナーに入っていった。が、直後にロレンソがペドロサをインから鮮やかに抜き去ってトップを奪取。以後は一度も前を譲らず、淡々と、そして着々と後続との距離を開いてゆき、全23周回を終了した段階では、ペドロサに対し5.400秒もの差をつけていた。

イタリアGPで優勝したロレンソ(中央)は表彰台でお決まりのジャンプ「午後になって温度条件が高くなると、(ヤマハのバイクは)苦しい展開になるだろうと想定はしていた。午前のウォームアップ走行では1分47秒5や47秒6というタイムをポンと出せたけど、午後の決勝レースでは47秒台を保てなかった。だから、自分のライディングを変えてみて、燃料タンクが減り始めるまで待ったんだ。(燃料が)減ってきてからはブレーキも深く突っ込めるようになって、コンマ数秒を稼いでいくことができた。これが勝てた大きな要因になった」

 決勝後にレース展開を振り返ったこの言葉が、すべてを物語っている。沈着冷静な分析、状況変化に臨機応変に対応する柔軟性、そしてそれをもっとも高い水準で実現していく技倆(ぎりょう)の余裕。まさにこの選手の持ち味を存分に発揮した勝利、というべきだろう。

 今回の勝利で、ロレンソはムジェロサーキット3年連続優勝を達成したが、ムジェロサーキットといえば、チームメイトのバレンティーノ・ロッシが数々の奇跡的なドラマを繰り広げ、2002年から2008年までの7年間、誰にも表彰台の頂点を譲らなかった。