【F1】チャンピオン争い最終局面。王者を最終的に決する要因とは何か? (3ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by YoneyaMineoki
  • 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

 一方、シーズン前半戦は苦しんだレッドブルだったが、第14戦シンガポールGPからインドGPまで、ベッテルが自身初となる4連勝で一気に選手権首位に躍り出た。インドでは、ウェバーはKERS(Kinetic Energy-Recovery System/運動エネルギー回生システム)のトラブルで3位に後退し、マクラーレン勢も決勝では不発。ライコネンもセットアップに失敗して上位争いに絡むことはできなかった。

 インドGPを終えて、チャンピオンシップは1位ベッテル(240)、2位アロンソ(227)、3位ライコネン(173)、4位ウェバー(167)、5位ハミルトン(165)、6位バトン(141)。

 ベッテルとアロンソの差は13点差に広がった。しかし、アロンソは絶対的な自信を見せている。

「チャレンジングな状況にはなったけど、タイトル獲得の自信は100%だよ」

 対するベッテルは、慎重だ。

「もうひとりのチャンピオン候補は、間違いなくフェルナンドだろうね。それにマークだっている。チャンピオン争いのことを考えれば、またうまく前進できたと思う。でもここ数年、状況というものがいかにあっという間に変わってしまうかということを僕たちは目の当たりにしてきたんだ。まだまだ先は長い。一歩ずつ着実に進んでいかないと」

 ベッテルは、選手権のことは考えず目の前のレースのことだけを考えて走る。それが過去の失敗から学んだ教訓であり、2年連続のタイトル獲得を果たした原動力でもある。

「チームのみんなは驚くほど懸命に働いてくれている。サーキットだけでなく、ファクトリーでもマシンを速くするために支援体制が敷かれている。そのおかげで予選もあれだけの速さを引き出せるんだ。決勝でもみんなは最高のピットストップをやってくれた。

 それは僕らが今、目の前にあることに集中しているからこそできることなんだ。僕らが考えているのは、昨日のことでもなければ、明日のことでもない。僕らは今この瞬間を生きているんだ。だから最高のレースができるんだよ」

 残る3戦で、最大75ポイントを獲ることができる。そう考えれば、13ポイントという差はさほど大きなものではない。アロンソの言う次戦アブダビGPでのマシンアップデートの成果によっては、残り3戦の勢力図も変わってくるかも知れない。

 ベッテル対アロンソ、レッドブル対フェラーリのチャンピオン争いは、いよいよ大詰めを迎える。

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