【MotoGP】苛酷なシーズン終盤。「三つ巴」復活で優勝争いはさらに複雑化?

  • 西村章●取材・文 text by Nishimura Akira
  • 竹内秀信●撮影 photo by Takeuchi Hidenobu

タイトル争いをするダニ・ペドロサ(右)とホルヘ・ロレンソ。残り4戦で33ポイント差タイトル争いをするダニ・ペドロサ(右)とホルヘ・ロレンソ。残り4戦で33ポイント差
 第14戦アラゴンGPは、ランキング2位のダニ・ペドロサ(レプソル・ホンダ)が独走の勝ちパターンでシーズン4勝目を挙げた。ランキング首位のホルヘ・ロレンソ(ヤマハ・ファクトリー)が2位で終わったことにより、両選手のポイント差は33。

 終盤4戦を残してチャンピオン争いは、見た目の点差以上に複雑な様相を呈しはじめている。

 前戦の第13戦では、ロレンソが優勝して25点を加算するいっぽう、ペドロサは1周目に転倒に巻き込まれてノーポイントで終わったために、事態は一気にロレンソ側に傾いたように見えた。

 この段階での38点差という状況は、以後すべてのレースでペドロサが優勝したとしても、ロレンソが2位でフィニッシュを続ければ毎戦5点ずつしか短縮できない計算だ。ペドロサにとっては、相手の転倒等による大きなポイントロスを期待しないかぎり、いわゆる自力チャンピオン獲得の目はほぼついえたにも近い状態だった。

 今回の第14戦を終えて、両選手の差は5点縮まった。ペドロサは王座獲得の必須条件となったベストシナリオをひとまずクリアしたものの、依然として戦況はロレンソに有利だ。

 再来週から日本-マレーシア-オーストラリアと続く三連戦をペドロサが全勝した場合でも、ロレンソがすべて2位で終えれば、ふたりのポイント差は合計15点しか縮まらない。シーズン最終戦を前に18点差が開いている状態なら、たとえ第18戦でペドロサが優勝してもロレンソは8位以上でフィニッシュしさえすればチャンピオンを獲得できる。

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