【F1】「これが現実」。トップチームと競り合う苦悩にぶつかった可夢偉 (2ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

  可夢偉がこう語った最初のピットストップ後のセナとの接触で、フロントウイングを失って余計なピットストップを余儀なくされた可夢偉は、入賞圏外へと後退。それでも残りの40周弱をタイヤ無交換で走り切ってなんとかポイントを獲得しようという望みは捨てていなかった。

 だが、その矢先に今度はフェリペ・マッサ(フェラーリ)と接触。

 レーススチュワード(競技会審査委員団)は可夢偉に事故の非があるとして、ペナルティを科した。レース中ならばピットスルーペナルティを科せられるところだが、可夢偉はこの裁定が下された時点でレースを終えており、次戦イギリスGPでの5グリッド降格が科せられることになった。

 表彰台のチャンスが目の前に見えていたレース序盤とは対照的に、最初のピットストップ以降、まさに負のスパイラルに陥ってしまったのだ。

「マッサとはサイドバイサイドでターン10に入っていったんですけど、結果的に僕がペナルティを受けて。僕は前に出てたから良いかと思ってたんですけど、充分にスペースを空けてないって言われて。抜きに行って前にいるんやから、スペース空けるもクソも関係ないと思うんですけど。まぁ、よく分からない審議結果ですね」

 可夢偉は不満げに言ったが、下された裁定は覆(くつがえ)らない。

 今シーズンのF1は大混戦の中で、予選結果だけでは読み切れず、運によってレース結果が大きく左右されてしまう傾向がある。だからこそ可夢偉は、予選7位で終えた後に「今回こそは頼みます、神様!! もうこうなったら神頼みです」とつぶやいていた。しかし、結果は残酷だった。

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