【F1】「これが現実」。トップチームと競り合う苦悩にぶつかった可夢偉
スペインのバレンシアで開催されたヨーロッパGPでリタイアに終わった小林可夢偉
「これが結果です。これが現実です」
ヨーロッパGPをリタイアで終えた後、小林可夢偉は言った。
予選で7番グリッドを獲得し、好スタートで4位まで浮上した。レース序盤は前3台との距離をコントロールしながら、さらなるチャンスを狙う。首位レッドブルだけはペースがずば抜けていたが、2位以下は混戦。彼らと同じレース戦略を採っている以上、可夢偉にも十分に表彰台獲得のチャンスはあった。
レースが終わってみれば、前の3台(ベッテル、ハミルトン、グロージャン)はすべてリタイアか下位に沈み、可夢偉よりも後ろにいた11番手スタートのフェルナンド・アロンソ(フェラーリ)が優勝。もし可夢偉があのまま無難にレースをフィニッシュしていれば、表彰台の真ん中には可夢偉が立っていた可能性さえも十分にあったのだ。今のザウバーには、それだけの速さがあった。
しかし、可夢偉のレースは最初のピットストップから崩れ始めた。いや、その時点で可夢偉はほぼすべてを失ったといっても過言ではなかった。
大混戦の中で可夢偉が上位勢とともにピットに向かったのは14周目。そこでザウバーのクルーが左フロントタイヤ交換に手間取り、この間にアロンソ、キミ・ライコネン(ロータス)らの先行を許してしまった。
さらには、1ストップ作戦を狙いピットインしない後方集団にも前に行かれてしまった。タイヤ交換に要した時間は6.2秒。マクラーレンが2.9秒で作業を終えていたこと、コース上の各車の間隔がいずれも1秒以下であったことを考えると、このタイムロスは痛すぎた。
「完全に最初のピットストップで終わった、という結論ですね。それ以降は流れが悪くなって、どうしようもないっていうか、(ブルーノ・)セナ(ウイリアムズ)が何を思ったんか突然右にラインを変えてきて。避けきれないっていう状態で。最悪と言うしかないですね」
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