【F1】可夢偉9位、ペレス3位。チームメイトとの差は何だったのか? (3ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

「今週の僕自身の仕事としては、悪い仕事をしたわけじゃないから。まぁ、こんなもんでしょ。最初から1ストップ想定のライコネンとかが前に行ってるだけで。マシンとしては上手くいってて、1回か2回かっていう読み間違えをしただけで、レース中に1回に切り替えてギリギリでポイントが獲れたっていうだけですよね」

 チームメイトの表彰台獲得にも、可夢偉は焦りを見せていない。前回のマレーシアGPもそうだったが、同じ戦略を採っていれば可夢偉にもそのチャンスは巡ってきていたのだ。その戦略を採るか否か、そしてそれが成功するか否か、それはその時の運に左右される面が大きい。

「別にいいと思いますよ。これでコンストラクターズランキングも上がったし、チームとしても良い結果ですから。もちろん喜んでるし、クルマが速いっていうのは分かってるし、それは来るべきチャンスが来れば僕にも(表彰台の)チャンスはあるということなんやから。みんながネガティブに考えてるだけですよ(苦笑)」

 そのことはチームも明確に理解しており、可夢偉の能力も成果もしっかりと評価している。事実、カナダのレース後にもペーター・ザウバー代表もモニシャ・カルテンボーンCEOも可夢偉とにこやかに話し合っており、日本のファンの間で不安の声が上がるような、ペレス寄りのチーム体勢になることはない。

 保険をかける意味で2台の戦略を分けたいというチームの意図は尊重しなければならない。その中で安全パイを獲り着実にポイントを重ねていくべきなのか、それとも時には派手な結果狙いでギャンブルを選ぶべきなのか。

 可夢偉の哲学としては前者に比重があるようだが、これからのレースで可夢偉にも大きなチャンスが巡ってくることを祈りたい。

3 / 3

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る