【MotoGP】残留か移籍か?どうなる天才バレンティーノ・ロッシの去就

  • 西村章●取材・文 text by Nishimura Akira
  • 竹内秀信●撮影 photo by Takeuchi Hidenobu

来季のシートはどこになるか、注目を集めているバレンティーノ・ロッシ来季のシートはどこになるか、注目を集めているバレンティーノ・ロッシ 第6戦イギリスGP直前の6月12日、ヤマハ・ファクトリー・レーシングから、ホルヘ・ロレンソと2013年と2014年の契約を締結した、という発表があった。トップライダーたちが揃って契約更改の節目を迎える今年、彼等の動向は開幕前から大きな注目を集めていた。

 5月中旬には2011年チャンピオンのケーシー・ストーナー(レプソル・ホンダ)が今季限りで引退するという電撃発表もあり、事態はいっそう混沌とした様相を呈した。2010年に王座を獲得し、昨年ランキング2位のロレンソに対してはレプソル・ホンダも獲得に意欲的だと噂されていたが、ヤマハとの契約を終えたロレンソは、じっさいにホンダから接触があったことを認めた。

「とても難しい決断だった。でも、自分の心に耳を澄ませてみると、ヤマハ、という声が聞こえてきたんだ」
 と本人は語ったが、ヤマハ残留が最も合理的な選択であったことは、おそらく誰の目にも明らかだった。契約を更新した時点でも、ロレンソは5戦中3勝を挙げてランキング首位に立っていた。最も戦闘力が高くチャンピオンに近い地位を放り出すのは、チャンピオン獲得以上の魅力的ななにかが提示されないかぎり考慮の対象にはなり得ない。

 しかし、チャンピオンを争う選手にとってチャンピオンの座以上に魅力的なものもまた、あり得ない。

 第6戦の決勝レースでも、ロレンソはストーナーと激しいバトルを繰り広げた後、独走ペースへ持ち込み3連勝を達成。ここまでの6戦では第2戦と第3戦の2位を除き、4レースで優勝という高水準の内容で、ヤマハ残留は当然すぎる選択だったことを、自らの成績で示した格好だ。

 では、このロレンソのチームメイトは誰になるのか。また、ストーナーの抜けた場所には誰がおさまるのか。そういった憶測は、すでにパドックのあちこちで語られている。しかし、もうひとつのファクトリーチームであるドゥカティについては、誰がここのシートを獲得するのか、という方向での興味は持たれていない。

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