【F1】不本意な10位。可夢偉とザウバーに何が足りなかったのか? (2ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

 しかし今回の可夢偉は、周りのマクラーレン、レッドブルといった上位チームと同じ戦略、つまり3度のピットストップ作戦で真っ向勝負を挑んだ。

 ただし、その背景には2回ストップ作戦を選ぶのが難しかったという事情もあった。

「昨日の予選アタックの時に少しフラットスポット(摩擦でタイヤの溝が削れ、一部が平らになる状態)を作っていて、少しバイブレーションが出ていたんで、第1スティントはそんなに引っ張れないのは分かっていた。だから3回ストップを選んで、2回ストップにチャレンジしなかったんです」

 しかし結果的にそれが裏目に出た。

 タイヤを交換してピットアウトするたびに多くのマシンが走行する集団の中に飛び込んでしまい、本来のペースで走ることができない。

「前に渋滞があって、あまりに不運なところに戻ってしまって。新品タイヤのおいしいところを使えなくて、(タイムを)稼げるところで稼げなかったというのがすごく痛かったですね。その結果、またさらに渋滞の中に入ってしまって。今日はずっと渋滞の中でしたから。やっぱり今日は2回ストップにしとかなきゃいけなかったんだと思います」

 その2回ストップを選んだキミ・ライコネン(ロータス/予選5位、決勝14位)は、最後までタイヤがもたずに大きく後退することになった。しかし、同じ2回のロマン・グロージャン(ロータス/予選10位、決勝6位)や、ウイリアムズの2台(予選13位と14位、決勝7位と8位)はしっかりとタイヤをもたせて、下位グリッドから逆転で入賞を果たしている。

 今回の可夢偉のように、予選でQ3に進出すると、その分余計にアタックをするため、タイムを稼げる新品タイヤを失ってしまう。トップチームならいざ知らず、中団グループにあって、周囲のマシンを凌駕する速さがないザウバーのようなチームにとってはタイヤの選択や使い方が難しくなり、それが決勝ではデメリットになってしまうのだ。

「やっぱり、僕らのクルマでは予選で頑張ってタイヤを使ってしまうと厳しいのかもしれませんね。もうちょっとペースが速ければ3回ストップも使えたんですけど、まだ僕らには2回ストップの方が良かったみたいです。頑張ってクルマを開発して、もう1ステップ前にいかないといけませんね。トップチームを見るんじゃなくて、自分たちオリジナルの戦略で戦っていかなきゃいけないのかなということにも気づきました」

2 / 3

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る