岩隈久志所属のマリナーズがぐんぐん評価を上げている!

  • 福島良一●解説 analysis by Fukushima Yoshikazu  photo by AFLO

 近年、ア・リーグ西地区で最下位に甘んじることの多かったシアトル・マリナーズが、昨シーズン、ようやく上昇の兆しを見せました。5年ぶりにレギュラーシーズン勝率5割以上(87勝75敗)をマークし、プレイオフ進出にあと一歩まで迫ったのです。

岩隈久志(左)とロビンソン・カノ(右)。マリナーズを支える攻守の軸岩隈久志(左)とロビンソン・カノ(右)。マリナーズを支える攻守の軸 大きく飛躍した要因のひとつは、ニューヨーク・ヤンキースからFAとなったロビンソン・カノと、2013年12月に10年総額2億4000万ドル(約242億円・当時)で契約できたことでしょう。その結果、カノは周囲の期待どおりに打率.314・14本塁打・82打点という好成績を残し、チームの勝利に大きく貢献したのです。

 そして今オフ、マリナーズはさらなる上を目指すべく、大掛かりな補強を敢行しました。まず、シーズン終了直後の10月30日、岩隈久志投手との契約更新の選択権を行使。その後、他球団からトレードのオファーが舞い込みましたが、マリナーズのジャック・ズレンシックGMは「放出しない」と明言しました。昨シーズン、自己最多の15勝(9敗)をマークし、過去3年間の通算防御率がア・リーグ5位の3.07という安定感を誇る岩隈投手を、しっかりとチームに引き止めたのです。

 さらに12月2日、カノとともに打線を牽引する三塁手のカイル・シーガー(打率.268・25本塁打・96打点)と7年総額1億ドル(約118億円)で契約延長し、12月3日にはトロント・ブルージェイズから先発左腕のJ.A.ハップ(11勝11敗・防御率4.22)を獲得。そして12月4日には、ボルチモア・オリオールズからFAとなった昨季ア・リーグ本塁打王のネルソン・クルーズ(打率.271・40本塁打・108打点)と、4年総額5700万ドル(約67億4000万円)で契約しました。マリナーズは12月のわずか3日間で、攻守ともに大幅な戦力アップを果たしたのです。

 その後も、12月7日にはシカゴ・カブスから右打ちのジャスティン・ルジアーノ(打率.281・6本塁打・28打点)、そして12月30日にはサンディエゴ・パドレスから左打ちのセス・スミス(打率.266・12本塁打・48打点)と、左右の外野手を獲得。今オフ、マリナーズは実に隙のない動きでチーム力を着実にアップさせたと思います。

 これらの補強によってマリナーズは今、メジャー関係者の間でぐんぐんと評価を上げています。その理由のひとつは、やはり攻撃力の大幅アップでしょう。昨シーズンのマリナーズは、シーズンを通して貧打に苦しみました。チーム総得点数(634得点)はア・リーグ15チーム中11位タイ、チーム打率(.244)は14位、そしてチーム出塁率(.300)とOPS(.676)はア・リーグ最下位だったのです。

※OPS=出塁率と長打率を足し合わせた値。

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