【競馬】菊花賞初挑戦の遅咲きハービンジャー産駒が激走する

  • 平出貴昭(サラブレッド血統センター)●文 text by Hiraide Takaaki  photo by Nikkan sports

 今週は牡馬クラシック最終戦のGI菊花賞(10月25日/京都・芝3000m)が行なわれる。近年は長距離戦離れが進み、このレースを回避する有力馬も少なくないが、過去4年の勝ち馬のうち、オルフェーヴル、ゴールドシップ、エピファネイアの3頭がその後もGIを勝利しており、重要なレースであることに変わりはない。

菊花賞1週間前のマッサビエル。順調な 仕上がりぶりを見せた菊花賞1週間前のマッサビエル。順調な 仕上がりぶりを見せた

 菊花賞といえば、以前はスタミナの有無が大きなポイントだったのだが、近年の長距離戦はかなり様子が変わってきており、"折り合い"と"瞬発力"が重要な要素になっている。とはいえ、短距離血統の馬がなかなか勝てないように血統にはある程度の限界もあり、現在でも長距離向きの種牡馬は存在している。菊花賞はそういった種牡馬を狙う絶好の機会なのである。

 ここ20年くらいの間ではリアルシャダイ、ダンスインザダーク、ステイゴールド、ハーツクライなどが、菊花賞や天皇賞・春などの長距離戦で注目される血統となっているが、筆者が新たにこの路線の注目種牡馬として抜擢したいのはハービンジャーだ。現役時代はイギリスGIのキングジョージ6世&クイーンエリザベスS(芝約2400m)で11馬身差という歴史的大勝を収めた名馬。引退後種牡馬となり、初年度産駒は現3歳を迎えている。つまり、産駒が菊花賞に出走するのは今年が初めてなのである。

 ハービンジャー産駒の成績を見ると、10月12日現在の芝69勝中、約83%を占める57勝が1800m以上での勝利。種牡馬成績トップのディープインパクトの約62%と比較しても、その数字がいかに偏ったものかが伺える。実際、産駒の多くが3歳夏から秋にかけて本格化を見せており、今年の菊花賞には3頭がエントリー(神戸新聞杯3着のトーセンバジルは出走権を持つが回避)してきた。春のクラシック(皐月賞、ダービー)ではベルーフが皐月賞に出走しただけだった。

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