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追悼リバティアイランド――「強すぎるくらい強く、賢い子だった」彼女の後継を見たかった

  • 新山藍朗●文 text by Niiyama Airo

 競馬ではよく「名牝」という言葉が使われるが、そう称されるうえで、重賞何勝とか、GIを勝ったかどうかとか、はっきりとした基準はない。GIIIをひとつ、ふたつ勝ったくらいの馬でも、人によっては「名牝」と呼ぶことがある。

 そして、そのあまたいる名牝たち、いわば"名牝群"のなかには、ごく少数だが、実績的に抜きん出た存在がいる。誰もがその強さを認める名牝中の名牝、まさにレジェンド級の名牝である。

 ここ最近で言えば、アーモンドアイやグランアレグリアらがそうだ。

 彼女たちがなぜレジェンド級かと言えば、一線級の牡馬相手に複数のGIを、それも強い競馬で勝っているからだ。

 彼女たちをはじめ、近年は牝馬の活躍が著しく、競馬の世界ではジェンダー差などがあたかもなくなったかのように言われているが、それは誤解であって、競馬でも体力面など、牝馬と牡馬との差はいまだに厳然としてある。

 つまり、牡馬、それも最強クラスの、場合によっては世界レベルの牡馬を相手に、GIを1回だけでなく何回も勝つ、というのは想像以上に大変なことなのだ。

 その点において、先日香港で不慮の事故によって予後不良となったリバティアイランドは、わずかに悔いを残した、と言えるかもしれない。

多くのファンに夢を与えた三冠牝馬のリバティアイランド photo by Kyodo News多くのファンに夢を与えた三冠牝馬のリバティアイランド photo by Kyodo Newsこの記事に関連する写真を見る

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