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スプリンターズSに参戦する香港馬2頭は買いか? ふたりの調教師の反応から見た本気度 (2ページ目)

  • 土屋真光●取材・文 text&photo by Tsuchiya Masamitsu

 ビクターザウィナーを管理するダニー・シャム調教師は、前出のロマンチックウォリアーも管理。また、アシスタント時代にもフェアリーキングプローンで安田記念(2000年)を制しており、日本での戦い方を熟知している。

 スプリンターズSには、2012年にリトルブリッジで挑戦。英国の王室主催競馬ロイヤルアスコットでのGIキングズスタンドS(現キングチャールズ3世S/アスコット・芝1000m)を勝って、勇躍日本にも乗り込んできたが、「輸送と検疫続きで、馬のコンディションが上がらなかった」とシャム師。精彩を欠いて、10着に敗れた。

 その苦い経験を糧として、以降、海外遠征においては一段と万全の態勢を期すことを心掛けるようになったシャム師。この春、管理馬を積極的に日本へ送り込んで好結果に結びつけたのも、その表われだろう。

 そうして、ビクターザウィナーを再び日本のスプリントGIに送り込んできた。同馬にとって、今回は夏休み明けのシーズン初戦となるが、同馬は過去2年とも、シーズン最初のレースで勝利を挙げている。

 そこで、シャム師に「(ビクターザウィナーは)使って状態が上がるタイプというより、休み明けのフレッシュな状態のほうが走るタイプか」と問うと、彼は「そのとおり」と頷いた。

 高松宮記念後の前2走は振るわなかったが、シャム師によれば「シーズン後半の疲れもあったし、前走は香港競馬のなかでは馬格があるほうではないのに、トップハンデの135ポンド(61.2kg)を背負わされたのが響いた」という。

 しかし今回は、過去2年と同様、バリアトライアル(実戦式調教)で1着入線を果たしての臨戦過程。加えて、日本でもお馴染みの"マジックマン"ジョアン・モレイラ騎手を鞍上に配してきた。陣営の勝負気配が伝わってくる。

 9月25日には、そのモレイラ騎手を背にして、中山の芝コースで軽快な追い切りを披露したビクターザウィナー。今の先行有利な中山の馬場も、逃げ・先行脚質のこの馬にとっては追い風だ。

 一方、レースに対する本気度は、ムゲンも負けていない。同馬を管理するピエール・ン調教師は7月の段階で、「秋は(日本の)スプリンターズSに行きたいんだ」と漏らしていた。

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