スプリンターズSで注目の血統は「ミスタープロスペクター系」出走する4頭のなかで特に注目なのは? (2ページ目)
同馬は2年前、タイム差なしのクビ差2着に入った実績馬。2022年のGⅢ葵S(京都・芝1200m)以来1200mでの勝利はなく、近4戦で3勝した重賞勝ちはGⅡ阪神C(阪神)、GⅢ阪急杯(阪神)、GⅡ京王杯スプリングC(東京)といずれも1400mだ。高松宮記念も12着と敗れており、1200mの距離を不安視する見方もあるかもしれないが、昨年のこのレースも6着ながら勝ち馬と0秒4差と内容は悪くなかった。
今年は前2年の経験を踏まえ、過去2年ステップレースにしていたGⅢキーンランドCに出走せず、京王杯スプリングCから約4カ月半ぶりの出走となる。過去、4カ月以上のレース間隔で出走したことはなく、ローテーションに不安は残るが、ベストと判断しての臨戦過程だけに陣営を信じたいところだ。
父系を遡ると4代目でフォーティナイナーに辿り着くが、この父系は2016、17年レッドファルクス(父スウェプトオーヴァーボード)、2018年ファインニードル(父アドマイヤムーン)とスプリンターズSを3連覇している。この3頭がレースを制した時の馬齢は、レッドファルクスが5、6歳時で、ファインニードルが5歳時。さらに、ほかの父系ではあるが、2022年の勝ち馬ジャンダルムも7歳でのGⅠ初制覇と、このレースは5歳以上馬の成績がいい傾向が見られる。5歳を迎えたウインマーベルにとっても、これまで積み重ねてきた経験は今回、実になりそうだ。
もう1頭、血統的に見逃せないのがサトノレーヴ(牡5歳、美浦・堀宣行厩舎)だ。父ロードカナロア、母の父サクラバクシンオーは、ともにこのレースを連覇した名スプリンター。このレース史上初の父仔制覇がかかる存在だ。
10歳上の半兄ハクサンムーンも、GⅡセントウルSなど重賞で3勝したスプリンター。2013年のスプリンターSではロードカナロアに次ぐ2着に入っている。GⅠ制覇を果たせなかった兄の無念を、兄のGⅠ勝ちを阻んだロードカナロアの血を入れることで晴らそうとしているのは、血統のドラマや面白さを感じる。ちなみにこの馬も、父系を遡るとミスタープロスペクターに辿り着く。
以上、今年のスプリンターズSは、ミスタープロスペクター系の2頭、ウインマーベルとサトノレーヴに期待する。
著者プロフィール
平出 貴昭 (ひらいで・たかあき)
主に血統分野を得意とする競馬ライター、編集者。(株)サラブレッド血統センター在籍。著書に『覚えておきたい日本の牝系100』『一から始める! サラブレッド血統入門』など。「週刊競馬ブック」で『血統見聞録』を連載するほか、「競馬四季報」などの編集業務にも携わる。そのほか、『優駿』などにも寄稿。twitterアカウント:@tpchiraide
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