七夕賞は極端な流れになりやすい 今年想定される展開で一発が見込めるのはこの馬だ!
ダービージョッキー
大西直宏が読む「3連単のヒモ穴」
――今週の福島では伝統の重賞、GIII七夕賞(7月7日/福島・芝2000m)が行なわれます。今年は文字どおりの"七夕決戦"となって、大いに盛り上がりそうです。
大西直宏(以下、大西)七夕賞は夏の福島開催のメインイベントですから、当日は多くのファンで賑わいそうですね。
七夕賞と言えば、オールドファンには1993年のツインターボの伝説的な大逃走劇が記憶に残っているのではないでしょうか。前半1000m通過が57秒4という驚異的なハイペースで飛ばし、最後まで後続に影を踏ませることなく、4馬身差の完勝劇を披露しました。
また2010年、最後方からの直線一気で"どうにかなった"ドモナラズの強襲を思い出す人も多いかもしれません。直線の短い福島で、直線だけで15頭をゴボウ抜きするのは極めて珍しく、あの末脚には本当に驚かされました。
このように、2000mのハンデ戦である七夕賞はどの人馬も勝ちに動くため、なかなか単調な競馬にはなりません。観戦者にとっては、スリリングで面白いレースと言えます。
――過去6年の結果を振り返っても、前半1000mのラップタイムが、60秒台以上が3回、58秒台が3回。その年ごとによって、両極端な展開になりやすい傾向が見て取れます。予想においては、やはり展開をどう読むかが重要になりますか。
大西 それが、大きなポイントです。特に昨年のことはよく覚えていますが、戦前は「逃げ・先行馬が多数いる」ということから速い流れになると予想されましたが、実際には前半1000mが60秒7。まったくペースが上がらず、想定外の展開となりました。
逃げ馬がそろっている場合でも、隊列が早々に決まると落ちつくことがあります。そのため、逃げ馬の数だけでなく、騎手の性格やそれまでの騎乗傾向なども考慮する必要があると思います。
――今年はセイウンプラチナ(牡5歳)とバビット(牡7歳)が逃げ候補とされていますが、競り合う形になるのでしょうか。
大西 セイウンプラチナは全4勝が逃げ切ってのもの。今回鞍上を務める原優介騎手が騎乗した際も、4度ともすべて逃げています。戦法には迷いがありません。
ただ、この馬が勝っている時はすべて、1000m通過が60秒以上のスローペース。速いペースを刻むより、ゆったりとしたマイペースに持ち込みたいタイプです。
バビットにしても、前走のGIII鳴尾記念(7着。6月1日/京都・芝2000m)で久々に逃げましたが、前半1000m58秒7のペースで最後まで辛抱できなかったことを考えると、もう少しゆったりと運びたいところでしょう。
また、この馬は3走前のGII京都記念(2月11日/京都・芝2200m)で3着と好走していますが、離れた2番手からの競馬で粘り込みました。ハナにこだわらなくても競馬ができます。
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