今後、日本の「ダート王決定戦」は海外が主な舞台!? サウジカップで15億円を手にするのは? (2ページ目)

  • 土屋真光●取材・文 text by Tsuchiya Masamitsu

 日本では先週、「ダート王決定戦」となるGIフェブラリーS(2月18日)が行なわれた。結果は、11番人気のペプチドナイル(牡6歳)が低評価を覆して勝利を飾った。

 ただ、そうした波乱の結果は、ある程度事前に想定されてはいた。地方在籍馬を含めて地方交流GIの勝ち馬が4頭、芝GI馬も2頭いたとはいえ、今回のサウジカップデーに出走するメンバーは不在。多くの馬に勝つチャンスが広がり、「ダート王決定戦」と言うにはかなりの手薄感があったことが否めなかったからだ。

 結局、こうした状況に至ったのは、ダートの一線級の視線、目標が完全に海外へ向いてしまった弊害とも言えよう。

 その理由はいくつかある。

 まずは冒頭でも触れたように、賞金的な魅力だ。今回のサウジカップなら、1着賞金が1000万ドル(約15億円)。2着でも350万ドル(約5億2500万円)、3着でも200万ドル(約3億円)、5着でも100万ドル(約1億5000万円)。対して、フェブラリーSの1着賞金は1億2000万円である。

 しかも、サウジカップは高額な出馬登録料の必要がない。輸送費もサウジアラビア側の負担による招待制だ。

 また、3月に控える海外GIドバイワールドカップも、出馬登録料こそ発生するが、招待競走。1着賞金は696万ドル(約10億円)だ。

 毎年秋に開催される海外GI、アメリカのブリーダーズカップクラシック(アメリカ・ダート2000m)にしても、1着賞金は312万ドル(約4億6000万円)。あまり知られていないが、こちらも主催者が最低約600万円の遠征費用を補助してくれる。

 こうした賞金差だけでも、実績のある馬が海外へ目を向ける理由としては十分だ。

 加えて、かつては日本調教馬にとって「遠いもの」と思われていた海外のダートGIの勲章が、手の届く位置にあることを実感できるようになったことも大きい。

 近年、世界各地での日本調教馬の好走が目立つようになり、昨年に至っては、サウジカップでパンサラッサが勝利。ドバイワールドカップではウシュバテソーロが鮮やかな追い込み勝ちを決めた。

 さらに、地方所属馬のマンダリンヒーローがアメリカのGIサンタアニタダービー(アメリカ・ダート1800m)でハナ差の2着と奮闘。同じくアメリカのブリーダーズカップクラシックではデルマソトガケが2着、ウシュバテソーロが5着と健闘した。

 こうして勝利の現実味が増せば、一線級の馬たちの海外志向が高まるのは当然か。

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