竹俣紅アナが振り返るイクイノックスの強さ 有馬記念ではどの馬に期待しているのか? (2ページ目)
あの時の私は、4月から『みんなのKEIBA』を担当することに決まって競馬を勉強し始めたばかりで、ドバイで勝つなんてすごい! とは思っても、イクイノックスの逃げというものがどれだけ異例なのか、どれだけすごいことが起きたのか、わかっていませんでした。あらためてドバイシーマクラシックの映像を見ると、この時がイクイノックスの競馬の幅が広がるきっかけになったのかもしれないとも思います。
私自身、ラップタイムや位置取りの重要さがわかるようになって、イクイノックスのすごさがよりわかるようになりました。私もイクイノックスとともに、少しは成長できたのかな......そんなことを感じています。
競馬番組を担当し始めた年にこの馬と出会えたことは、本当に幸運でした。この貴重な時間を、きっと10年後、20年後に思い出すことでしょう。
競走馬としての引退には寂しい気持ちがありつつ、種牡馬になるこれからは産駒の誕生が楽しみでもあり......。イクイノックス産駒がデビューする時には、込み上げてくるものがあるんだろうなと、今からもうウルウルしています。
引退と言えば、この馬のことも話したいですね。パンサラッサです。
海外GIのサウジCを逃げきって勝った時のパンサラッサの映像は、競馬初心者の私に「こんな馬が日本にいるの!?」と大きな衝撃を与えてくれました。ただこの馬は、圧巻の大逃げを打った昨年の天皇賞・秋を最後に、ずっと海外レースを使われてきたうえに、春には右前脚繋靱帯炎を発症。私は彼の走りを過去のレース映像で見ることはできても、リアルタイムで見ることができずにいました。
ですから、ジャパンCに出走してくると聞いた時は、タイトルホルダーとの競演ということもあってワクワクドキドキ。レース後、パンサラッサも引退が発表され、これが現役最後のレースとなったわけですが、念願の大逃げを目のあたりにした感想は、「かっこいい!」のひと言です。
たいていのレースでは、集団がひとかたまりになって4コーナーを回ってくるのに、パンサラッサだけは一頭だけで悠々と回ってくる。その姿のかっこよさと言ったら、もうたまりませんでした。
結局12着に敗れはしましたが、パンサラッサがいたからこそイクイノックスのすごさがさらに伝わってきたと思います。このレースのMVPをあげられるとしたら、私はイクイノックスだけではなく、パンサラッサにもあげたいですね。
大逃げのセンスは、産駒にも伝わるのでしょうか。逆に、産駒からすごい差し馬が出てきたら、それはそれで面白いのですけれど(笑)。イクイノックス同様、こちらの子どもたちも楽しみにしています。
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