桜花賞の「大本命」リバティアイランドには、本当に死角がないのだろうか (2ページ目)
これまでの結果を踏まえれば、こういった不安要素も"重箱の隅をつつく"程度のものかもしれない。だが、安易に無視するのはどうか。
とりわけ、スローペースで流れて最後のキレ味勝負となるレースは「得意ではない」というのは気になる材料だ。
この点について、前出の専門紙記者が例に挙げるのは、2着に敗れたGIIIアルテミスS(10月29日/東京・芝1600m)である。同レースは、前半3ハロンが後半の上がり3ハロンより2秒も遅い、テンがスローな展開だった。
この一戦、リバティアイランドは勝負どころの直線で行き場を失う不利があったにせよ、ひと足早くトップスピードに入った勝ち馬ラヴェルを捕えきれず、クビ差の2着に敗れている。専門紙記者が言う。
「あのレース、勝ったラヴェルの上がりタイムは33秒0。いくら不利があったとはいえ、それを捕まえきれなかったのですから、前半のゆったりとした流れから、後半いきなり加速するようなレースは向かないということ。つまり、リバティアイランドは一瞬のキレる脚が使えない、と見るべきではないでしょうか。
新潟のデビュー戦で31秒台の破格の時計をマークしているので、リバティアイランドは"キレる"というイメージがありますが、テンがスローだとそこまで脚を溜められない。要は、キレ味が鈍る、ということです。もしスローでもキレる馬なら、アルテミスSでも勝ち馬を捕まえていたと思いますよ」
しかしながら、桜花賞では「魔の桜花賞ペース」という言葉がある。専門紙記者もそれは認めており、桜花賞ではおおよそハイペースとなり、リバティアイランドが苦手とするスローペースにはまずならない。
言い換えれば、前半のペースうんぬんが、リバティアイランドの致命傷になることはまずない、ということだ。
そのうえ、競馬では「負けから学ぶ」ということがよくある。リバティアイランドにとってのアルテミスSがまさにそうで、この敗戦からデビュー戦の一戦だけではわからなかったリバティアイランドの長所と短所を、ジョッキーはよく理解したはずだ。
すなわち、スローのヨーイドンといった競馬はあまり合わないとか、勝負どころで馬群をさばくのに思いのほかもたつくなど、他にもいくつかあったであろう短所を、陣営はデビュー戦から2戦目までにつかむことができた。陣営にしてみれば、それは相当な収穫だ。
2 / 3