堤礼実アナが選ぶ2022年ベストレース。「これ以上の名勝負が今後見られるのか? と思うほど衝撃的な一戦」 (2ページ目)

  • 藤巻 剛●撮影 photo by Fujimaki Goh

 実際にレースが始まってみると、タイトルホルダーは先頭に立ったパンサラッサの2番手を追走。つまり、いつもとは違う位置でレースを進めることになったわけですが、それでも4コーナーを回った時には抜群の手応えで、「まだこんなに力を残していたの?」と驚いてしまうほどでした。

 そして、そこから一気に先頭に立つと、あっという間に突き抜けていきました。直線に入ってからの力強い走りを目の当たりにしてテンションが上がった人は、私だけではないのではないでしょうか。

 結果的に2着のヒシイグアスと2馬身差。タイトルホルダーが勝った他のレースに比べると、そこまで大差をつけての圧勝だったわけではありません。ですが、またひと味違うタイトルホルダーの強さを見せてもらったという意味で、とても印象に残るレースとなりました。

 続いて2位は、日本ダービーです。このレースで印象深いのは、勝ったドウデュースの強さもさることながら、鞍上の武豊騎手が自ら持つ最多記録をさらに伸ばす6度目のダービー制覇を遂げたこと。レジェンドジョッキーの力をまざまざと見せつけられたレースでした。

 ダービーと言えば、競馬に関わるすべてのホースマンにとっての夢であり、憧れの舞台。喉から手が出るほどほしいタイトルである一方で、なかなか手にすることができないタイトルでもあります。

 そんなダービーを6度も制覇。才能はもちろんのこと、やはり努力の賜物なのだろうなと、武豊騎手のすごさを改めて実感することになりました。

 昨年のダービー当日は、観客の入場制限も緩和されてきたなかですごく熱気があり、スタンドのファンが一体となって武豊騎手を祝福する雰囲気を現場で感じられたことも、このレースを印象深いものにしている大きな理由のひとつです。

 昨年8月、この連載で2022年の上半期のGIレースベスト3を選んだ際には、宝塚記念を1位、ダービーを2位にしました。それがなぜ、今回は宝塚記念よりもダービーを上位に選んだのか? それはやはり、ダービーで2着となったイクイノックスの、その後の活躍に目覚しいものがあったからです。

 秋になって、古馬勢を相手にGⅠで2勝を挙げることになるイクイノックス。同馬の活躍がドウデュースの勝利の価値をさらに高めたように感じるのと同時に、昨年のダービーは「本当にすごいレースを見せてもらったんだな」と改めて実感できたことが、今回の順位の入れ替わりとなりました。

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