ホープフルSの本命は「血統的に文句なし」のジャスタウェイ産駒。2歳世代のトレンド配合を持つ実力馬が対抗か (2ページ目)

  • 平出貴昭●文 text by Hiraide Takaaki
  • photo by Sankei Visual

 母系の血統も魅力的だ。母の父メイショウサムソンは、この舞台で行なわれたGⅠ皐月賞や、GⅠ日本ダービーを勝った名馬。母ハピネスダンサーも3歳時にこの中山・芝2000mでミモザ賞を勝っている。

 さらに、叔母に有馬記念などGⅠ4勝のクロノジェネシス、香港CなどGⅠ2勝のノームコアがいる良血。ノームコアもこの中山・芝2000mではGⅢ紫苑Sを3馬身差で圧勝している。自身の競走実績に加え、父系の血、母の父、近親すべてがこのコースと縁のある馬であり、血統的には文句なしの本命だ。

 もう1頭はキングズレイン(牡2歳、美浦・手塚貴久厩舎)を推す。同馬は父ルーラーシップ、母の父ディープインパクトという配合だが、これは先日のGⅠ朝日杯フューチュリティSを勝ったドルチェモアと同じ組み合わせ。この配合は他にも菊花賞のキセキ、GⅢ七夕賞のエヒト、GⅢ青葉賞のワンダフルタウンと、実に4頭の重賞勝ち馬がいる「ニックス配合」でもある。現2歳世代では、この組み合わせはちょっとしたトレンドになっており、GⅡデイリー杯2歳Sを勝ったオールパルフェも父の父がディープインパクト、母の父がルーラーシップという配合でこの組み合わせを持っている。

 キングズレインは牝系も優秀で、母タッチングスピーチはGⅡローズS、祖母リッスンは英GⅠフィリーズマイルの勝ち馬。将来性も十分で、2歳のみならず3歳、4歳以降も活躍できそうな血統構成だ。

 同馬は実力も一級品。前走の百日草特別(東京・芝2000m)は上がり3F33秒7という鋭い脚を見せ、1馬身半差で快勝。ただ、未勝利勝ちは時計のかかる札幌・芝1800mで挙げるなど異なる条件で結果を残しており、心強いポイントだ。

 以上、今年のホープフルSはジャスタウェイ産駒セブンマジシャン、ルーラーシップ産駒キングズレインに期待する。

【著者プロフィール】

平出 貴昭(ひらいで たかあき)
主に血統分野を得意とする競馬ライター、編集者。(株)サラブレッド血統センター在籍。著書に『覚えておきたい日本の牝系100』『一から始める! サラブレッド血統入門』など。「週刊競馬ブック」で『血統見聞録』を連載するほか、「競馬四季報」などの編集業務にも携わる。そのほか、『優駿』などにも寄稿。twitterアカウント:@tpchiraide

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