タイトルホルダーが単騎で逃げる有馬記念。意外とレースは緩みなく流れ、後方からまくってくる伏兵に出番あり

  • 大西直宏●解説 analysis by Onishi Naohiro
  • photo by Kyodo News

ダービージョッキー
大西直宏が読む「3連単のヒモ穴」

 いよいよGI有馬記念(12月25日/中山・芝2500m)が行なわれます。

 今年は、1着賞金が1億円アップして4億円。来年にはさらに増額されて、5億円になるそうです。僕がサニースワローに騎乗して参戦した時(1988年)は9500万円でしたから、隔世の感がありますね。

 近年は海外GIの凱旋門賞や香港国際競走へ目を向ける馬が多くいて、出走メンバーの層の厚みを感じない年もあったりしましたが、今年はGI馬が7頭出走。他、GI連対実績がある馬も4頭いて、グランプリレースにふさわしい豪華な顔ぶれがそろいました。

 また、今年は有力各馬がいろいろな臨戦過程を踏んできています。その分、どこからでも狙うことができ、馬券的には検討しがいのあるレースと言えるのではないでしょうか。

 では、どの馬を軸にするのか? 

 そこが、非常に悩ましいところです。能力的に勝つチャンスのある馬は、五指に余りますからね。そのうえ、展開や乗り方ひとつで馬券圏内(3着以内)に食い込んできそうな伏兵も数多く存在。発売締め切りまで頭を悩ませるファンの方も、結構いるのではないでしょうか。

 ともあれ、上位人気になるのはファン投票1位~3位の馬でしょうか。

 ファン投票1位のタイトルホルダー(牡4歳)は、ご存知春のGI2勝馬。抜群のスタートダッシュから主導権を奪ってペースをコントロールし、変幻自在のラップを刻んで後続を完封するスタイルは完成の域を迎えています。

 前走のGI凱旋門賞(10月2日/フランス・芝2400m)でも積極果敢にハナを奪って、直線を向くまではラクな手応えで持ったまま。最後は力尽きて失速してしまいましたが、あれだけ脚にまとわりつく深い洋芝馬場でも、リズムよくスイスイと逃げられる走りには目を見張るものがありました。

 今年のメンバーには同型は見当たらず、これまで同様、最初からレースを支配できそうです。人馬ともさまざまな経験を積んだ今、堂々の主役となって然るべき存在です。

 同2位のエフフォーリア(牡4歳)は、昨年の勝ち馬で年度代表馬に輝いた馬。昨年のレース直後は、誰もが歴史的名馬の道を邁進する、といったことを想像したでしょう。それだけに、今春の成績はいまだに信じられません。

 しかし、立て直しに成功すれば、今回も昨年と同様の走りを見せても驚けません。陣営もここに向けてしっかり調整しているはず。2戦2勝と得意の中山コースで、大きく変わってほしいですね。一競馬ファンとしても、この馬の復活を心から願っています。

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