菊花賞はセントライト記念組が有力も、神戸新聞杯惨敗で人気が急落した素質馬の逆襲に要注意

  • 大西直宏●解説 analysis by Onishi Naohiro
  • photo by Sankei Visual

ダービージョッキー
大西直宏が読む「3連単のヒモ穴」

 先週のGI秋華賞では、史上7頭目の牝馬三冠馬の誕生はなりませんでしたが、GIオークスの上位3頭が着順を入れ替える形で上位を独占。概ね平穏な決着となりました。波乱の決着も競馬の醍醐味ですが、強い馬たちがその強さを存分に見せつけるレースも見応えがあっていいですね。

 さて今週、牡馬三冠最終戦となるGI菊花賞(10月23日/阪神・芝3000m)はどうなるでしょうか。

 今年の菊花賞は、GI皐月賞(4月17日/中山・芝2000m)、GI日本ダービー(5月29日/東京・芝2400m)の連対馬が1頭も出走しないため、秋華賞とは打って変わって大混戦ムード。新興勢力も多く、実力比較はとても難しく感じます。ただその分、馬券的な妙味は増しそうです。

 トライアルの2戦について、僕はGIIセントライト記念(9月19日/中山・芝2200m)のレベルは低くなかったと見ています。ダービー3着馬アスクビクターモア(牡3歳)が僅差の2着と奮闘。能力を出しきってくれたことで、レース全体のレベルを上げてくれました。

 そして、そのアスクビクターモアをアタマ差退けたのが、ガイアフォース(牡3歳)。新馬戦でのちのダービー馬ドウデュースと接戦を演じ、2走前の1勝クラス・国東特別(7月3日/小倉・芝2000m)では後続に7馬身差をつけてのレコード勝ちを決めました。戦前から話題になる材料はありましたが、関東初見参で評判どおりの力を示してくれました。

 勝ちにいったアスクビクターモアを真っ向勝負でねじ伏せたことは、フロックではできない芸当です。この馬の力はホンモノと見ていいと思いますし、大きな魅力を感じます。

 好位のポジションをとれる、折り合いがつく、長くいい脚を使える、血統的にもスタミナに不安がない......と、長丁場の菊花賞に向けても、これといってマイナス要素が見当たりません。さすが松山弘平騎手が惚れ込んで、デビューから一度も手放さずに乗り続けている馬だけのことはありますね。

 そのガイアフォースに屈したアスクビクターモアも、菊花賞では有力な1頭です。敗れたとはいえ、セントライト記念の内容は悲観するものではありませんでしたからね。

 最後は目標にされた分の差であり、本番への出走権がかかっていた勝ち馬とは本気度が違いました。アスクビクターモアにとって、同レースはあくまでも叩き台。それで、同タイムでの入線なら、何ら評価を下げる必要はありません。

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