凱旋門賞にまったく違うアプローチで挑む日本馬4頭。悲願の勝利に向け、各陣営が自信を覗かせる「戦略」とは (2ページ目)

  • 土屋真光●文・写真 text & photo by Tsuchiya Masamitsu

「前哨戦も勝ちにいくというか、仕上げて臨んだことで、今思えば"お釣り"がなかったのかもしれない」

 これは、9月28日のシャンティイで最終追い切りを終えたあとの友道調教師の弁だ。その経験を踏まえて、陣営は大胆な策を採った。本番から逆算し、前哨戦のニエル賞を、結果を求めない"調整レース"として割り切って使ったのである。レースは7頭立ての最後方からレースを進め、最後の直線で伸びを見せるも、ダービーのように最後まで伸び切ることはできず4着に終わった。

 正直なところ、「調整とはいえ負けすぎでは?」という物足りなさもあったが、その点について友道調教師は、「勝てるに越したことはないけど、デキも余裕残しで、太目も残っていた。直線もずっと右手前で走ってしまって、武豊騎手も最後まで追いませんでした。あれで手前をちゃんと換えていたら、結果はもう少し違っていたと思います」と、想定の範囲内であることを強調した。

 事実、最終追い切りでは、ドウデュースは単走で軽快な動きを見せた。友道調教師も「1回使った上積みは大きいと思う。イメージ通りにきています」と自信を覗かせている。

 昨年に続いて参戦のディープボンド(牡5歳)も、昨年は前哨戦のフォワ賞を圧勝しながら、本番では14着に敗れた。

「フォワ賞を勝った後、具合いいと思っていたけど、疲れていたのかなという気もします」

 管理する大久保龍志調教師も、友道調教師と同じく前哨戦を使ったマイナスの影響を振り返る。ただ、ドウデュースと異なり、ディープボンドは遠征の環境やコースの経験をすでに積んでいる。そこで今年は、"経験"を目的とした前哨戦出走は不要と判断し、本番だけを使うプランが組まれた。

 前哨戦が行なわれた前日の9月10日にフランスに到着。昨年と同じくエントシャイデンを僚馬に、じっくりと調整されてきた。

「休み明けでも、5歳なので競馬への上がっていく曲線もわかっているので苦労はありません。仕上がりに関しても去年よりも自信があります。昨年に大きな課題をもらって、馬場などについても対策をしてきました」(大久保調教師)

 具体的な対策について尋ねると、「それは秘密」と不敵な笑みを見せた。

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