2022.06.04

安田記念は歴代最強スプリンターのイメージとダブる、充実一途のキレ者が再び波乱を起こす

  • 大西直宏●解説 analysis by Onishi Naohiro
  • photo by Kyodo News

ダービージョッキー
大西直宏が読む「3連単のヒモ穴」

 2分21秒9というダービーレコードで幕を閉じた今年の日本ダービー。久しぶりに大歓声のなかでの競馬だったこともあって、今なおその余韻に浸っています。

 このダービーで僕が一番満足できたのは、どの騎手も勝ちにいく姿勢を見せてくれたこと。スローの競馬を否定するわけではないのですが、やはり頂上決戦となれば、出走馬すべてが能力を出しきっての"ガチンコ勝負"を見届けたいですからね。

 そのきっかけを作ったのは、前走の皐月賞が不完全燃焼に終わったデシエルト。手綱をとる岩田康誠騎手の「絶対に行く」という思いに導かれて気迫満点の出脚を披露。この馬がよどみのないラップを刻んだことによって、ハイレベルな決着が生み出されました。

 こうしたペースで流れると、ジョッキーの作戦や考えが大きく反映されるので、最後は鞍上力が問われます。おかげで今回、僕も各騎手たちの手綱さばきを存分に堪能させてもらいました。

 その結果、勝ったのはドウデュースに騎乗した武豊騎手。これで、6度目のダービー制覇という前人未踏の記録を達成しました。

 1998年にスペシャルウィークで彼が初めてダービーを勝ったあと、「おめでとう」と声をかけると、「ダービーっていいもんですね」と感慨深げに返してくれたことをよく覚えています。あれから、さらに5回も優勝を重ねてきたのですから、本当に「すごい」としか言いようがありません。

 さて、今週は東京競馬場での5週連続GI開催のラストを飾るGI安田記念(6月5日/東京・芝1600m)です。

 今年は、久々の18頭フルゲート。しかも、いろんな臨戦パターンから出走馬が集結しています。前哨戦からはもちろん、海外帰り、休み明け、上がり馬、スプリント戦やダート戦からなど、これだけバラエティーに富んでいると、どうやって比較したらいいのか、頭を悩ませてしまいますね。

 2016年から単勝オッズが4ケタ配当の馬が6連勝しているように、もともと波乱が起きやすいレースですが、今年もその可能性はかなり高いと感じています。

 こういうレースは、どの騎手も「自分の馬も一発あるんじゃないか」と色気を持って乗ってきます。そうすると、実績が足りない馬でもハイレベルな戦いのなかで秘めた能力を引き出されて激走する、というシーンもあったりするので、伏兵の台頭にはより注意が必要です。