戸崎騎手も唸る。遅れてきた大物ルージュエヴァイユは「スピードに乗った時の迫力がすごい」 (2ページ目)

  • 河合力●文 text by Kawai Chikara
  • photo by Sankei Visual

 こうしてフローラSに向かうルージュエヴァイユだが、実はデビュー前からトレセンではちょっとした噂になるほどの馬だったという。その点について、関東競馬専門紙のトラックマンが明かす。

「ルージュエヴァイユは、デビュー前から追い切りで抜群の素軽さを見せていて、毎日調教を見ているトラックマンたちの間でも『走るね』と評判だった1頭。そのため、いつデビューするのか、誰もが気にするほどの存在だったんです。

 同馬を管理する黒岩調教師もこの馬のスピードは認めていて、2戦とも『すばらしいモノを持っているね』と目を細めていました。手綱をとっていた戸崎騎手も『トップスピードに乗った時の迫力がすごい』と褒めていました」

 早くから秘めた素質の片鱗を覗かせ、デビュー後も周囲の評判に違わぬ走りを見せているルージュエヴァイユ。だが、当初から牝馬クラシック初戦のGI桜花賞参戦には見向きもしなかったという。その理由について、先述のトラックマンはこう説明する。

「理由は2つあります。ひとつは、距離適性。調教の動きなどから、黒岩調教師は『中距離で使っていく』と早々に決めていたんですよね。

 もうひとつは、体の線の細さ。黒岩調教師は以前から『どうしても体のシルエットが華奢で、もう少し成長を促したい』と話していました。それで、無理に桜花賞を目指すようなことはせず、ゆったりとしたローテーションを選択してきたそうです」

 ルージュエヴァイユはここまで、その成長をうながしながら大事にレースを使われてきた。そうして、いよいよ重賞の舞台に挑む。勝てば、世代の女王を決めるGIオークス(5月22日/東京・芝2400m)も見えてくる。

 無敗の3歳牝馬は、さらに連勝を伸ばして樫の舞台へ駒を進めることができるか。その走りから目が離せない。

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